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【書籍2巻2/10】感情を殺すのをやめた元公爵令嬢は、みんなに溺愛されています!【コミカライズ】  作者: 夕立悠理
一章

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幸福な気持ち

「……落ち着いた?」

「はい」

 泣いてしまったことを気恥ずかしく思いながら、頷く。外はもうすっかり暗くなっていた。

「じゃあ、帰ろうか」

 そう言った後、ジルバルトは撫でていた手を止め、最後に頭を一度撫でると、わたしを立ち上がらせてくれた。熱が離れていくのが寂しくて、その手を目で追う。


「……手でも繋ごうか?」

「そ、そんなつもりじゃ!」

 慌ててぶんぶんと首を振ると、ジルバルトはふはっ、と吹き出した。

「冗談だよ」

 冗談に本気になってしまったわ。

 ……恥ずかしい。


「ほら、ブレンダ。行こう」

 恥ずかしすぎて思わず固まった私に苦笑して、ジルバルトは歩き出した。

 慌てて、それに着いていく。


「これでよしっと」

 図書室の鍵がしっかりと閉まっているのを確認して、図書室を後にした。


「そういえば」

 帰り道、ジルバルトは私に合わせたゆっくりな歩調で歩きながら、尋ねてきた。

「あの画集見てみた?」

「いいえ」


 首を振った私にジルバルトは意外そうに瞳を瞬かせ、それから頷いた。

「生徒会の仕事とかで忙しいもんね」

「いえ、そうではなく──」

 昼休みに友人たちと見ようとしたけれど、なぜだか一人占めしたい気がしてやめたことを伝える。


「そうなんだ。……ブレンダってさ、とっても可愛いね」

「!? どうしてですか?」

 どうして、そこで可愛い、なんて言葉が出てくるの!?


「秘密」

 ジルバルトは答えるかわりに、そうひとつ微笑んだ。


◇◇◇

 女子寮に戻り、自室で鞄から画集を取り出す。


 一ページ、一ページ、ゆっくりと眺めているととても温かい気持ちになった。それは、絵がとても可愛らしい──ということもあったけれど。

 ジルバルトが、息抜きに、とお薦めしてくれた気持ちが嬉しかったから。


 全てのページを見終わって画集を閉じる。

 そして、今日のことを思い出す。

「ジルバルト様が、私の味方……」


 初めてだった。男の人にそんなこと、言われたの。


 口に出すと、とっても気恥ずかしくて、でも幸福な気持ちになった。


 そして、私はその信頼に応え続ける人であろうと思った。

◇◇◇

 それから、数日。穏やかな日が過ぎた。


 そして──ついに、かくれんぼの日になった。欠席することも考えた。けれど、正式な学校行事らしく単位として認定されるもののようだった。


 現在の私の目標は、無事にこの学園を卒業し、良い職業を見つけること。


 なので、参加することにした。


「……アレクシス殿下。本日はよろしくお願いします」

「ああ。ブレンダ、共に頑張ろう」

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― 新着の感想 ―
[一言] さてさて、アレクシス殿下はどれぐらいの甘さを見せてくれるやら…(笑)
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