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【書籍2巻2/10】感情を殺すのをやめた元公爵令嬢は、みんなに溺愛されています!【コミカライズ】  作者: 夕立悠理
一章

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70/150

喜怒

「……はぁ」

 昨日は、ミランたちに迷惑をかけてしまった。今日は、昨日のようなことが起こらないように頑張ろう。

 ため息をつきながら、図書室の棚を眺める。

 今朝は自習はやめにして本を読んで息抜きをすることにした。


 宇宙の真理、0の証明……、だめね、息抜きにしては内容が固すぎる。

「うーん」

 本棚の前で唸っていると、

「息抜きなら、このあたりがおすすめだけど」

「!」

 後ろから、本が抜き出され、はい、と手元に渡される。

「……ジルバルト様」

「驚かせてごめん、おはよう、ブレンダ」

「おはようございます。この本は……?」

 表紙には、可愛らしいライオンのような絵が描かれている。

「それ、動物の画集なんだ。結構可愛いのも多くて、ボクも気に入ってる」

「へぇ……」

 ジルバルトが、この可愛らしい動物の絵を眺めているところを想像してみる。……なんだか、すごく――。

「ふっ!」

 私が噴き出すと、ジルバルトは首を傾げた。

「どうしたの?」

「いえ、ジルバルト様も可愛らしいところがおありなんだなと思いまして」

 私がそう言うと、ジルバルトは途端に耳まで真っ赤になった。

「は、はぁ!? ボクが、可愛い!?」

 ジルバルトはそっぽを向いて首を掻いてしまったけれど、怒っている、というよりは照れている雰囲気だった。


 なんだか、そんなところも可愛くて、つい笑ってしまう。もちろん、図書室だから小声だけれど。

「はい。お薦め、ありがとうございます。読んでみますね」

 そっと、画集を抱きしめる。

「……うん」


◇◇ ◇

 今日も、午前の授業を終え、無事お昼休みになった。

「あの……」

「どうされたの、ブレンダさん」

 最近、一緒に昼食を食べている友人たちと一緒に、画集を見よう――と思ってやめる。

 なぜだか、やっぱり、一人で見たい気がした。

 友人たちには、申し訳ないけれど、何でもないと首を振り、今日の昼食をどこで食べようか、と話す。

 すると、一人の友人が、とっておきの情報を教えてくれた。

「そういえば、かくれんぼで見事一位を勝ち取ったペアは、食堂の幻のメニューである『超・特別メニュー』のチケットが貰えるそうですよ」

 超・特別メニュー……!


 思わずごくりと、喉を鳴らす。それはぜひとも――ぜひとも頑張らなければならない。特別メニューだけでも、あんなに美味しかったのに、超、とついている。とてもとても美味しいに違いなかった。


 昼休みは、その話題で持ちきりで和やかに過ぎていった。

◇◇ ◇


そして迎えた、放課後。生徒会の仕事をしていると――……。

「ブレンダ、何か手伝えることはないだろうか?」

「いえ、特には――」

 アレクシス殿下の言葉に首を振り。書類を纏める。

「ブレンダ、ここはこうすると良いよ」

「ありがとうございます」

 ルドフィルが、助言をしてくれた。有難く、その助言を受け入れる。けれど。

「そのやり方だと、かえって効率が悪いんじゃないか?」

 アレクシス殿下がそう言ったのを皮切りに、ルドフィルとアレクシス殿下は言い争いを始めてしまった。

「そんなことありませんよ。僕は、ずっとこの方法でやってきました」

「――で……が――だから」

「でも、……で!」

「だが――」

 ……。胃が痛い。以前まで二人はこんなに言い争いをするような仲ではなかった。二人ともどこかよそよそしいといった感じでお互いに気を遣っていたのに。

 こうなったのは、……たぶん、私のせい、なのかなぁ。

 勇気をもって、二人に声をかける。

「どちらでもいいので、仕事に戻って下さると嬉しいです」

 みんな二人の行く末をはらはら見守っていた。そのせいで、仕事がだいぶ滞ってしまっている。


 けれど、二人には私の声が聞こえなかったようで、また、言い争いを始めてしまった。

 困りはてた表情のみんなにも、二人とも気づいていない。


 私は、大きく息を吸い込んだ。

「……いい加減にしてください!」

 


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― 新着の感想 ―
[良い点] ジルがかわいい [気になる点] 殿下うざ…ルドフィルもうざ…
[一言] いやぁ、2人ともうざったいですねぇ。 王子はもう殿堂入りですが、ルドフィルもだいぶ酷い…。 私は断然ジル派です。彼は平民となって初めて得た自由に戸惑うブレンダに寄り添い歩調を合わせてくれてる…
[一言] 言うべき時はハッキリ言わんとね!
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