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【書籍2巻2/10】感情を殺すのをやめた元公爵令嬢は、みんなに溺愛されています!【コミカライズ】  作者: 夕立悠理
一章

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69/150

圧勝

「……ブレンダは、僕の従妹ですから」

「そうではあるが、ブレンダは私のペアだ」

「……あの」


 私が、声をかけると言い合っていた二人は振り向いた。

「それで、どちらと帰るんだ?」

「ブレンダ、一緒に帰ろう」

「……ええと」

 ──どうして、こうなったのかしら。


◇ ◇ ◇


 今日も無事午後の授業も終えて、生徒会室に向かった。それで、久しぶりに生徒会の仕事をしていたのだけれど──。


「ブレンダ、その資料重いでしょう? 僕が持つよ」

「ありがとうござ──」


 ルドフィルに資料を渡そうとすると、その前にひょい、と資料は取られてしまった。ルドフィルではなく、アレクシス殿下に。


「アレクシス殿下?」

「気づかなくてすまない。今度から私を頼ってくれ」


 相変わらず、とても柔らかな声だった。

 友人ではなくなってしまった人には頼りにくいし、そもそもアレクシス殿下に頼るなんて恐れ多い。


 そう言いかけた私の言葉を遮ったのは、ルドフィルだった。

「アレクシス殿下、代わりますよ」

「いや、大丈夫だ」


 その後も、何度か仕事をルドフィルが手伝おうとしてくれたとき、必ずと言っていい程アレクシス殿下は現れた。


 そんな感じで、放課後は過ぎ。

 帰りの支度をしていたときだ。


「ブレンダ、一緒に帰らない?」


 確かに、今日はもう遅い。いつもなら図書室で勉強しているところだけれど、今日はやめておこうかな。


 でも、ルドフィルと一緒に帰るのは……どうだろう。

 ただでさえ、朝の甘い言葉攻撃で大変なのに、これ以上攻撃を受けたら間違いなく、寿命が削られてしまう。


 私は、長生きで大往生するのも目標の一つだ。だから、出来ればご遠慮した──。

「その必要はない。ブレンダは、私が送っていくから」

 そう言って私の手を取ったのは、アレクシス殿下だった。負けじと反対側の手をルドフィルに取られる。


 どうすれば、いいのかしら。


 ──そして、冒頭に至るというわけだった。


 私としては、どちらと帰るのも遠慮したい。

「一人で帰りますので、ご心配なさらないでください」


 私がそうきっぱり言った。よし、これで、大丈夫、よね?


 けれど、ますます二人の手を握る力は、強くなる。

「……あの?」


 どういうことだろう。

「そんな危ないこと、許可できるわけないでしょう?」

「学園内だとはいえ、夜道は危ない」


 わりと通いなれた道だし、躓いたりすることもないと思う。しかし、二人とも納得しそうにない。……どうしよう。


「あら、では。ブレンダさん、私と帰りません?」

「ミラン様!」


 助け船を出してくれたのは、ミランだった。ミランは、柔らかく、女性の手はそんなに強く握るものではないのでは? と指摘もしてくれた。


 その言葉に二人とも手を離してくれる。

「だが、女性二人というのは──」

「大丈夫ですよ。クライヴ様も一緒ですから」

「ああ」


 振り向くと、苦笑しながら、クライヴが頷いた。すっごく、助かる。助かるんだけれども、私がいては、カップルのお邪魔ではなかろうか。


 罪悪感を覚えながらも、

「ミラン様たちと帰ります!」

私がそう言うと、二人はしぶしぶ納得してくれた。


 ……良かった。






 帰り道。邪魔をして申し訳なかった、とミランとクライヴに謝ると二人は謝らないで、と言ってくれた。


 や、優しいー!


 思わずミランに抱きつくと、クライヴはとっても不満そうな顔をした。なので急いで、離れる。


 でも、その優しさにいつまでも甘えてはいけない。今日みたいなことが、明日も起こらないといいんだけどな……。

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― 新着の感想 ―
[一言] 王子! ルドフィル様のじゃましないでヽ(`Д´)ノプンプン
[一言] 牽制し合った挙げ句…勝者ミラン!(笑)
[気になる点] 殿下うざ… [一言] 殿下うざ… (大事なことなので2回)
感想一覧
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