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【書籍2巻2/10】感情を殺すのをやめた元公爵令嬢は、みんなに溺愛されています!【コミカライズ】  作者: 夕立悠理
一章

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67/150

ペア

毎朝、一緒に?

 つまり、毎朝あの超絶甘いルドフィルと一緒に登校するってこと……?

「……それは」

 私の精神衛生上よろしくない、気がする。それを理由に断ろうとすると、ルドフィルは微笑んだ。

「それなら、尚更一緒に登校しよう」

「ルドフィル様?」

 どういうこと?

「だって、それだけ僕のことを意識してくれるってことでしょう」

「それは、そう……ですが……」

言い淀む私に、ルドフィルは私の顔を覗き込んで、眉を下げて言った。

「どうしても、駄目……かな」

!!!!

 その表情は、私がルドフィルに弱い顔だった。昔からその顔をされると、何も言えなくなる。


「……わかりました」

 私が頷くと、ルドフィルは、心底嬉しそうに顔を綻ばせた。

「ありがとう、ブレンダ」

 いえ、お礼を言われるほどのことでは。……そう言いかけて、やめる。せっかくルドフィルが嬉しそうなんだから、水を差すようなことは言いたくない。


「ところで」

 ルドフィルが歩きながら話を切り出した。

「スコット公爵家――君の実家をもうすぐリヒトくんが継ぐのは知っている?」

 そうなのね。全く以て聞いていない。

 首を横に振ると、ルドフィルは、そっか、と頷いた。


「まぁ、まだ極秘情報なんだけれど、ブレンダには伝えておこうと思って」

「ありがとうございます」

兄は、理性的な人だ。きっと上手く領地経営や国政に携わっていくだろう。

 そういえば、兄は丁度私が公爵家を勘当されたときくらいに学園を卒業したから、長らく会えていなかった。元気かな。元気だと良いな。

 ルドフィルに、兄の様子を聞いてみる?

 ううん、私はもう公爵家を出て行った人間だ。今更心配されても、お兄様も迷惑でしょう。

 ――その後は、他愛もない話をして、学園に着いたので、ルドフィルと別れた。


◇ ◇ ◇



その後、今日も図書室での朝の自習を終えて。予鈴が鳴るまでの間、教室に向かいながらジルバルトと話していると、ふとジルバルトが意外なことを言った。

「そろそろ、かくれんぼの時期だけど、本当にブレンダ大丈夫?」

 ……かくれんぼ? しかも、時期って……?

 私の疑問が伝わったのか、ジルバルトは続けた。

「ああ、そっか。一年生はこれが初めてだし、生徒会が主催するわけではないから、知らないのか」

「生徒会以外にも、何か催しを主催する人がいるんですか……?」

「もちろん。誰だと思う?」

 うーん、でも、ジルバルトの口振りからして全員参加みたいだし。それほど大きな催しが出来るのは……。


「教師?」

「うん、正解」


 へぇ。ちなみに、かくれんぼは、先生たち自身が鬼として参加するらしい。

「それで、ペアって?」

「かくれんぼは、ペアで行動するんだ。ペアは、もう既に決まっていて――、ほら、この前中間テストがあったでしょ? その前後の順位の人で組むのが決まり」

「楽しそうですね」

 新しいお友達もできるかもしれない。そう、期待に胸を膨らませていると、ジルバルトは、深刻そうな顔をして頷いた。


「うん、まぁ、普通はね。……でも、ブレンダは」

 

 そういえば、学年二位は誰だったかしら。

 私が、思い出そうとしていると、後ろから声をかけられた。

「ブレンダ、ペアとしてよろしく頼む」

 その人から聞いたことも無いほど、柔らかな声。でも、長年、婚約者だった、私が聞き間違えるはずもなく。

「……アレクシス殿下」

 振り返ると、そこにいたのは、思った通りアレクシス殿下だった。



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― 新着の感想 ―
[一言] ジルバルト推しなので、つい「王子邪魔するなぁ!(だぁん)」ってなりました。
[一言] ブレンダ…波乱の予感!(笑)
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