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【書籍2巻2/10】感情を殺すのをやめた元公爵令嬢は、みんなに溺愛されています!【コミカライズ】  作者: 夕立悠理
一章

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お誘い

 お友達がたくさんできて、気分も明るい翌朝。学年一位を取れたからと言って、気を抜くとこはできないわ。


 そう考えなら、支度を整え、女子寮を出ようとして門前に誰かが立っていることに気づいた。


 ──ルドフィルだ。

「おはよう、ブレンダ」

「……おはようございます」


 ルドフィルの表情は溶けそうなほど甘くて、それが私に向けられているという事実が気恥ずかしく、俯いた。


「ブレンダ?」


 ルドフィルはそんな私にゆっくりと近づくと、優しく髪に触れた。


「……今日は髪を下ろしているんだね」


 その囁き方のほうが、どうしたと聞きたかった。蠱惑的なそんな響きで話すルドフィルなんて知らない。いや、知らなかった。

「ど、して……」

「ん?」

「ど、どうして、そんな……!」


 そんなに、甘いの。


 続く言葉はぎりぎり聞こえるか、の小さな声だったけれどルドフィルは、しっかりバッチリ聞こえていたらしい。


「それはね──」

「あ、や」

 やっぱり聞きたくない。耳を塞ごうとした、私の手を握って、ルドフィルは囁いた。

「ブレンダに、恋をしているから」


 あ、ああああ。

 甘い。甘すぎる。糖分の過剰摂取で、病気になりそう。

 どうしたらいいのか分からずに、うろうろと視線を動かす。それに、手は握られたままだし。


「……ふふ」


 ルドフィルは笑うと、手を優しく離した。そして、ルドフィルから先程の甘い空気が消える。


「今日はここまでね」

「今日は、ということは、明日もあるんですか!?」


 驚いて思わず大きな声を出した私に、驚くことなくルドフィルは言った。

「うん」


 うん!?!?!?!

「これから毎日続けるつもりだよ。ブレンダが、僕に恋に落ちるまで」

 それは……。

「……わかりませんよ。私が本当に、恋をできるのか、なんて」

「うん、わかってる。それでも、そうなって欲しいと願うことを君は、赦してくれた」

「……っ」

 そうだ。赦しなんて必要ない。


「でも、僕もちょっと張り切りすぎたかな。ごめんね」

「……ちょっと?」

「うん、ちょっと」


 昨日のルドフィルも甘かったけど、今日のルドフィルはそれ以上だ。

 あれでちょっとなら本気を出したら、どうなるの?

 頭に浮かんだ疑問を首を振って追い出す。これ以上考えるのは、私のために良くない。


「そういえば」

 学園に向かって歩きだしながら、ルドフィルは言った。

「はい?」

 ルドフィルの言葉に首を傾げる。何だろう?

「登校、一緒にしない?」

「?」

 今一緒にしているのは、登校じゃないのだろうか。

「ああ、ごめん。そうじゃなくて……これから、毎朝一緒に登校しない?」

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― 新着の感想 ―
[一言] ルドフィル推せ押せ押せ! 応援しているぞ(⋈◍>◡<◍)。✧♡
[一言] ルドフィル…攻めるね?(笑)
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