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【書籍2巻2/10】感情を殺すのをやめた元公爵令嬢は、みんなに溺愛されています!【コミカライズ】  作者: 夕立悠理
一章

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欲しいもの

「ジル、ついに本気を出したな! 君が一位だ」

 そう言って図書室に入ってきたのは、クライヴだった。クライヴは、少し悔しそうな顔をしている。

「ボクはいつでも本気だよ」

 ジルバルトはクライヴの言葉に肩をすくめ、笑った。悪戯に成功した子供のような柔らかい笑みで。

「いつも目立ちすぎないように、少し手を抜いていただろう?」

 クライヴがそう指摘すると、ジルバルトはあっさりと頷いた。

「手を抜くにしても、本気で抜かなきゃ」

 確かに。学年一位を取らずに、学年二位の成績を維持するのは逆に難しい気もする。でも、だったら、なんで、ジルバルトは今までの苦労を捨てて、学年一位を取ったんだろう。


 聞いちゃ、いけないこと、かな。

 でも、知りたい。


「ジルバルト様――」

 どうして、今回は手を抜かなかったのですか?


 私がそう尋ねると、ジルバルトは形のいい唇に指をあてた。

「秘密……といいたいところだけれど、可愛い後輩の疑問には答えなきゃね。欲しいものが出来たから。それにふさわしいボクになりたくて」


「欲しいもの、なんですか?」

「それは、ブレンダでも内緒。そんなに難しくないからさ、また、当ててみてよ」


 丁度そこで、午前の授業の予鈴が鳴った。急いで机に散らばっていた勉強道具を片付け、教室に向かった。



◇◇ ◇


午前の授業を終えた後。

「……?」

 私は、なぜかたくさんの女子生徒に囲まれていた。

「あの……?」


 私は、貴族から平民になったので遠巻きにされることが多い。それなのに、今日はどうしたんだろう。


 はっ! もしかして、この髪型校則違反だったのかしら。


 でも、生徒会長であるクライヴには何も言われなかったし……。

「あのね、ブレンダさん」

「はい」

 私は、彼女たちを一人一人見つめた。彼女たちの頬は紅潮しており、やっぱり、怒って――。

「わたくしたち、とても感動しているの!」

「……え?」

 思わぬ言葉に、ぱちり、と瞬きをする。

「感動、ですか……?」

「ええ、そう!!」

 私が首をかしげると、ずい、と彼女たちは更に距離を詰めた。

「だって、貴女は――元々公爵家の令嬢だったでしょう」

 それはそうだ。今は、ただのブレンダだけれど、以前は、ブレンダ・スコットという名前を持っていた。

「それなのに、平民になって。でも、挫けることなく、この学園に通って。そして、果てには中間テストで学年一位を取ったんだもの」

 すごいわ、と口々に言われる。

「! ……っ、ありがとう、ございます」

 

そんな風に、褒められることに慣れていなくて、思わず頬にかあっと血がのぼるのを感じる。嬉しい。誰かに努力を認められることって、こんなに嬉しいことだったんだ。


「それで……、こんなことを今更いうのも、失礼かもしれないけれど……。わたくしたちと友人になって下さらない?」


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― 新着の感想 ―
[一言] 一気に友達が増えた!(笑)
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