表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍2巻2/10】感情を殺すのをやめた元公爵令嬢は、みんなに溺愛されています!【コミカライズ】  作者: 夕立悠理
一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/150

僕と一緒に

「僕にとっての、恋……」

ルドフィルは、ひとつ瞬きしてゆっくりと噛み締めるようにそう言った後、柔らかく微笑んだ。

「……そうだね。歩きながら、話そうか」


◇ ◇ ◇


 ルドフィルと、歩く。

 女子寮から学園までの道のりは通いなれたもののはずなのに、なぜだか新鮮に映った。それは、ルドフィルと一緒だからだろうか。


 そう思いながら、ルドフィルを見上げるとルドフィルのアイスグレーの瞳と目があった。

「!」


 その慈しむように柔らかくて、けれど熱っぽい視線に思わず、目をそらしてしまう。どうして。いつもこんな風に見つめられていたのに、どうして、私はルドフィルの気持ちに気づかなかったんだろう。


 ぼんやりとそう考えていると、ルドフィルは立ち止まった。

「ルドフィル様……?」

「空、綺麗だね」


 ルドフィルに言われて、空を見上げる。青い空はどこまでも澄み渡り、雲ひとつない。

「ええ。いい天気でよかったです」

 

 この分だと、しばらく晴れるだろう。

「そうだね」

 ルドフィルは、何度か瞬きをして空を眺めた後、再び歩き出した。

「僕にとっての、恋はね──」


 思わずごくり、と喉をならす。

 ルドフィルにとっての、恋。


「空、かなぁ」

「空……ですか?」


 何かの謎かけだろうか。

 考えて立ち止まり眉を寄せた私の顔を、ルドフィルは覗き込んだ。

「ふふ。考えてる」


 悪戯に成功した子供のような表情で、ルドフィルは笑った。

 そして、その細く長い指先で私の頬に触れる。ルドフィルに触れられると以前は安心したはずなのに、今はなぜだか緊張する。


 緊張して一歩下がりかけた私の手をもう片方の手で握って、ルドフィルは覗き込んだ顔をさらに近づけてきた。


 そうすると、ルドフィルの瞳に映りこんだ私と目があう。

「──ブレンダの瞳とおんなじだね」


 内緒話をするときみたいに、低い声でそう囁いて、額をくっつけられる。

 なんだか、喉が乾いてきた。


 うまく、息ができない。


「……緊張してる?」

「……はい」


 嘘をついても仕方ないので、正直に頷く。

「そっか。それなら良かった。ブレンダも僕を異性としてみてくれてるんだね」

「……だって」


 だって、だって、といった私に、うん、とルドフィルは頷いた。

「──ずるい」


 あまりにも子供じみすぎていて、小さく呟いた言葉はルドフィルに届いてしまったようだった。

「そうだね、僕は……ずるい」


 ルドフィルが否定をせずに、簡単に受け入れてしまうから、子供みたいな自分が恥ずかしくて、からだの体温が上がる。


 ずるい。


 悔しくて再びそう呟きたい言葉を飲み込み、代わりに強気にでる。

「それで、どうして、ルドフィル様にとっての恋は空、なんですか?」


 つん、とした態度でそういうと、ルドフィルはくすくす笑った。でも、嫌な感じはしなかった。きっと、ルドフィルの瞳が優しかったから。


「空には、色んな表情があるでしょう?」


 それと恋もおんなじだよ。

 恋には、色んな側面がある。

 良いところも、悪いところも。


 そういった後、ルドフィルは、ふとくっつけていた額を離して耳元で囁いた。


「だから、ブレンダ。僕と一緒に恋をしよう」 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
[一言] ルドフィル…甘過ぎる…(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ