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【書籍2巻2/10】感情を殺すのをやめた元公爵令嬢は、みんなに溺愛されています!【コミカライズ】  作者: 夕立悠理
一章

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懺悔

 私が、アレクシス殿下に勉強を……?

 アレクシス殿下は生徒会の執行部に入っている。そんな人に、勉強を教える必要があるとは思えない。私とアレクシス殿下は友人だけれど、あのダンスの一件もあるのだ。どこで教えるかにもよるけれど、周囲がどう捉えるか考えたら──。

「申し訳ありません、アレクシス殿下。僭越ながら、私はアレクシス殿下を好敵手だと考えております」

 ですので、お教えすることはできませんといいながら、申し訳なさそうにするのもポイントだ。


 すると、アレクシス殿下はなぜか、嬉しそうな顔をした。

「そうか。私とブレンダは、好敵手……」

「はい」


 なんだかよくわからないけれど、喜んでいる分には構わないだろう。


「それより、ブレンダ急いだ方がよくない?」


 ジルバルトに言われてはっとする。

 そうだ、ゆっくりお話ししている時間はないのだった。


 まだ惚けているアレクシス殿下に失礼します、と声をかけて足早に教室に向かった。


◇ ◇ ◇



 大きく伸びをする。お昼休憩になった。いつものように、屋上に行くと今日もいい風が吹いている。昨日のように、肌寒く感じることはなかった。


 そのことにほっとしつつ、パンを頬張る。


 足音が聞こえたので振り向くと思った通り、ルドフィルだった。

「顔色、良くなったね。熱はなさそうだ」


 ルドフィルが優しく微笑む。それに微笑み返した。

「はい。お陰さまで」


 ルドフィルはまたひとつ微笑むと、私の隣に腰を下ろした。

「ねぇ、ブレンダ」

「はい」

「ブレンダ、僕が前に言ったこと、覚えてる──?」


 ルドフィルが、前に言ったこと。

 その内容を覚えているかと聞かれたら。

「はい」

 頷く。おそらく、というか十中八九、婚約の件についてだろう。


「ブレンダ、僕は君の力になりたい」

「ありがとうございます」


 ルドフィルはその存在だけで十分私の力になってくれている。そう言うとルドフィルは、そっと囁いた。


「君の幸せを願ってる。でも……ごめん。本当は。本当はね」

 ルドフィルが躊躇うように息を吐き出す。


 その続きは、昨日聞けなかった言葉だった。私は、ごくりと息を飲む。


 ルドフィルは、そっと囁いた。まるで、とてもいけない罪を犯してしまったときのように。


「それ以上に僕は君に……恋して、いるんだ」



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― 新着の感想 ―
[良い点] 好敵手は学生でいる間の同学年のテストランキング でのことで、それ以上の意味は全くないと思いますが 殿下が喜んでいるなら、win-winですね(笑) [一言] 殿下は当て馬とおりこして、ウザ…
[良い点] ルドフィルがめっちゃ格好いいです!!可愛い!! いつもは堂々としてお兄さん風なのに、告白場面は囁くように……庇護欲がわいてしまう(>_<)♪ でも、しっかりとした言葉で愛を告げていて格好い…
[一言] >「それ以上に僕は君に……恋して、いるんだ」 マジか!? と、思わずツッコんじゃいましたよ。 その割には秘密主義なんですよね?
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