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【書籍2巻2/10】感情を殺すのをやめた元公爵令嬢は、みんなに溺愛されています!【コミカライズ】  作者: 夕立悠理
一章

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29/150

肯定

「どうか、このまま、私の側にいてくれないか」

 ……それはまるで、口説き文句のようだ。でも、そうじゃない。アレクシス殿下はきっと、私の変化に戸惑っているだけだ。それか、元婚約者である私がジルバルトといることに対する嫉妬か。


 どちらにせよ、アレクシス殿下が私に恋情を抱いているわけではないだろう。


 それに、今の私はアレクシス殿下の婚約者ではない。ジルバルトのパートナーとして参加しているパーティでアレクシス殿下の側にいつづけるのは、ジルバルトに失礼だ。


 私はジルバルトから言われたことを思い出し、表情を曇らせた。

「申し訳ありません、アレクシス殿下。私、少し体調が優れないみたいで……」

 そういいながら、よろめいて見せる。

「! それは、大変だ。急いで──」

 医務室へ、とアレクシス殿下が言った時、遮る声がした。

「失礼。アレクシス殿下」

 ジルバルトだ。

 ジルバルトは、私の肩を支えると、にっこりと笑った。見惚れるほどの美しい笑みだった。

「『ボクのパートナー』の体調が優れないようなので、彼女を医務室に連れていきますね」

「……あ、ああ」


 その勢いに押されて、アレクシス殿下が頷く。

「では、行こうか、ブレンダ」


 ジルバルトにエスコートされて、その場を後にする。

「ジルバルト様、ありがとうございます」


 ジルバルトが、私を医務室に連れていきながら、可笑しそうに囁いた。


「……なかなか演技上手じゃない。本当に体調不良に見えたよ」

「いえ、それほどでも」


 これでも一応元公爵家の娘だ。


「でも、ブレンダはよかったの?」

「良かった、とは?」


 私が首をかしげると、ジルバルトは言った。

「だって、相手は第二王子。彼に気に入られれば、また、貴族に戻れるかもしれない」

 確かに事実かどうかはおいておくとして。公爵家から勘当されたとはいえ、第二王子に気に入られているとなれば、養子にしたいと思う貴族もいるかもしれない。でも。

「私は、今の私を気に入っています」


 私は、なにも我慢しなくていい今の私が好きだ。そういうと昔は知らないから、何ともいえないけれど、と前置きしてから、ジルバルトは優しく笑った。

「ボクも好きだよ、今のブレンダ」

「……ありがとうございます」


 今の自分を肯定してくれる人がいる。それは、とても幸せなことだと思った。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 昔のブレンダを否定するわけではなく、ちゃんと昔は知らないけどと前置きした上で今のブレンダを好きと言ってくれるジルバルト、素敵ですね。 [気になる点] 殿下に絡まれるブレンダを次は自分とダン…
[一言] いつでも助けられる位置に控えてたのかな、ジルバルト。スマートなイメージも保ちつつ可愛いですね。 今の自分が好きって言えて、受け入れてもらえる関係も素敵です。 ミランとクライヴはどんな感じでパ…
[気になる点] 殿下の往生際が悪すぎる……。 ストーリー上盛り上がるために仕方ないのだろうけれども!! やはりストーカーは規制するべきだと思うのです! [一言] 主人公が鈍感というのはデフォルトなので…
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