パートナー
放課後。今日は生徒会はお休みなので、図書室で勉強でもしようと向かっていると、ジルバルトに出会った。
「……はぁ」
大きくつかれた溜め息に、首をかしげる。
「どうしたんですか?」
「そろそろ例のアレがあるでしょ? それが、憂鬱でさ」
例のアレ。……ダンスパーティのことだろうか。私が尋ねると、ジルバルトは頷いた。
「そう。三年は担任から、参加しろって圧力をかけられるんだよね。ほんと、めんどくさい」
「体調不良になられるご予定は?」
ジルバルトは意外そうな顔をしたあと、にやりと笑った。
「ブレンダ、意外とやるね。でも、残念。流石にダンスパーティだけ体調不良七回目は、まずいでしょ」
七回目。年に三回あるはずだから、ジルバルトは今まで全てのダンスパーティを欠席していることになる。
「……はぁ。やっぱり、パートナーがいないと格好がつかないかな。でも、誘いたい子なんて……ん?」
ジルバルトは、私をちらりと見ると、にっこり笑った。……なんだか、嫌な予感がする。
「ねぇ、ブレンダ。ボクのパートナーになってよ」
「……いやです」
私が首をふると、ジルバルトは目を瞬かせた。
「どうして?」
「宵闇の貴公子様のパートナーだなんて、恨まれてしまいますから」
……そう。ジルバルトは、その整った容姿で、宵闇の貴公子と呼ばれているのだった。
「……そのことなら問題ないよ。ボクが爵位を継がないことがわかると、みんな手のひら返しだったから」
爵位を継がない? でも、ジルバルトは長男じゃなかったかしら。私が首をかしげると、ジルバルトは苦笑した。
「弟が継ぐことが決まってる」
……そうなんだ。
「……というわけで、どう?」
うーん。私はアレクシス殿下と一曲は踊らないといけないから、ダンスパーティに参加することは決まっている。一曲だけ踊ったら、帰ろうかとも思っていたけれど、それはそれで変な勘繰りを受けそうだ。
それならジルバルトのパートナーになって、ジルバルトと踊ったり、お話ししたりした時間を作る方が、いいのかも。
「わかりました」
頷くと、ジルバルトは破顔した。
「ありがとう」
……やっぱり、ジルバルトの笑みは破壊力がある。
「何か足りないものはある? お礼に贈るよ」
「いえ、大丈夫です」
「そう?」
「はい」
……と、そこで丁度図書室についたので話を切り上げ、席に座る。
放課後の図書室も静かでとても集中できた。




