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【書籍2巻2/10】感情を殺すのをやめた元公爵令嬢は、みんなに溺愛されています!【コミカライズ】  作者: 夕立悠理
一章

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聞きたいこと

「……え」

「ブレンダが選んだほうが、教えるよ」


 えっ、えええ。どちらかを選ぶということは、どちらかを選ばないということでもある。


 ジルバルトにしろ、クライヴにしろ、どちらを選んだところで、角が立つことにならないだろうか。


「ど……」

「ちなみに、どっちも選ぶも、選ばないもなし」


 すかさずジルバルトに逃げ道を塞がれ、助けを求めるように、クライヴを見る。けれど、クライヴは肩をすくめただけだった。

 腹を括るしかないか。

「……ジルバルト様、お願いします」


 学年一位の勉強法が気にならないでもなかったけれど。勉強を教えると約束してくれたのは、ジルバルトだ。だったら、ジルバルトに教えてもらうのが筋だろう。


「よかったな、ジル。自分から言い出したくせに、気が気じゃなかっただろ」

「……そんなことないけど。じゃあ、ブレンダ。ボクの教室で教えるよ」


 教室に入ろうとしたところで、ジルバルトは顔をしかめた。

「クライヴはご指名じゃないんだから、帰ったら?」

 後ろを振り向くと、クライヴもついてきていたらしい。

 クライヴは楽しげな顔で、いいや、と首をふった。

「ジルが誰かに勉強を教えるなんて面白いこと、私が見逃すはずないだろう。それとも、ジルバルト先生は、私がいると集中できないかな?」

 ジルバルトは大きなため息をついた後、首をかいた。

「……勝手にすれば」

「ああ」


 怒って聞こえる言葉のようだけれど、ジルバルトが折れた風だった。二人が仲が良いのは本当なのね。


 そんなことを考えつつ、席に座って勉強を教わる。

 ジルバルトの教え方はとても丁寧だった。ジルバルトは、私の理解度によって、説明の仕方を変えた。


「ジル、上手いな」

「……別に」


 誉められると恥ずかしそうに横を向く。でも、耳は赤いのであまり効果はなかった。


◇ ◇ ◇



「……こんなものかな」

「ありがとうございました」


 今日の授業分の範囲を一通り教えてもらった。

「とても、わかりやすかったです」

「それはよかった」


 ジルバルトはふと、窓を見て顔をしかめた。

「雨が降りそうだ。ブレンダ、傘持ってきてる?」

「いいえ」


 今朝の雨は突然だったので、傘を持ってきていない。首を降るとジルバルトは、だったら、とクライヴを見た。


「クライヴ、傘持ってるでしょ。ブレンダを女子寮まで送ってあげてよ」

「ジルが送らなくていいのか?」

「……ブレンダに聞きたいことがあるんでしょ。さっきから言いたいことがあるなら、さっさと言えばいいのに」


 私に聞きたいこと? 生徒会の話だろうか。

 私が首をかしげると、気恥ずかしそうにクライヴは頷いた。

「……あぁ。では、行こうか、ブレンダ嬢」


◇ ◇ ◇


 クライヴにエスコートされて、女子寮までの道を歩く。


「あの」


 それで、さっきの聞きたいこととは何だろうか。

「君は……、ミラン嬢と仲がいいな」

「はい」


 もしかして、聞きたいこととは、ミランのことだろうか。私が尋ねると、クライヴは頷いた。

「その。ミラン嬢は、甘いものは、好きだろうか?」

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― 新着の感想 ―
[一言] ほっほぅ~、クライヴ氏はミラン嬢が好きなのか。 ほっほぅ~(笑) でもミラン嬢の父親は、ミラン嬢が王室に嫁ぐことを望んでいるんですよね? クライヴ、茨の道ですよ~。
[良い点] ジルバルドさん素敵です! 敵に塩をおくってるのかと思ったら恋の橋渡し(の手伝い(多分。))とか!!! 基本ハーレム展開好きではないのでカップル増えるのは大歓迎ですが、カップル成立するのかし…
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