表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍2巻2/10】感情を殺すのをやめた元公爵令嬢は、みんなに溺愛されています!【コミカライズ】  作者: 夕立悠理
一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/150

思い入れ

「……ん」

 微睡みから目を覚ます。

 見たことのない天井にとまどっていると、声がした。


「顔色、よくなったね」

「……ジルバルト様」


 そうだった。顔色が悪いからとジルバルトに保健室に連れられたのだった。

「ずっと、ついていて下さったんですか?」

「……丁度読みたい本もあったしね」


 けれど、そういうジルバルトが持っている本は、先ほど持っていたものと同じで、頁は最初の辺りだった。流石にそんな短時間しか寝ていないと考えられないので、本は二巡目の可能性が高い。


「ありがとうございます」


 でも、そのことを指摘するのも違う気がして、変わりにお礼を言うことにした。


「……別に。ただのお節介だから、気にしなくていいよ」


 言葉はぶっきらぼうだったけれど、ジルバルトの耳は少しだけ赤かった。


「……それより、お昼、食べれそう?」

「えっ!?」


 もうそんな時間なの!?

「さっきお昼休憩に入ったところだよ」


 そんなに、わたし寝てたのか。衝撃を受けていると、ジルバルトは笑った。

「気持ち良さそうに寝てたから、起こさなかったよ。ちゃんと、睡眠とってる?」

「とってる……つもりです」


 昨日も五時間は寝た。そういうと、ジルバルトは眉を寄せた。

「だめだよ、六時間は寝ないと」

「……はい」


 まるで、お母さんのようなことを言う。私の母はもういないけれど。

「それで、食べられそう?」

 ジルバルトは私に包みを見せた。

 そこには、購買部のパンがたくさん入っていた。

「……はい、食べられます」

 頷くと、ジルバルトは少しだけ笑った。

「じゃあ、テラスにいこう」


◇ ◇ ◇


 テラスは柔らかい春の日差しが差し込んでいた。もう、雨はあがっており、空は綺麗な青色をしている。

「はい」

「……ありがとうございます」


 ジルバルトからパンを受けとりかけ、はっとする。

「お金を……」

 鞄から財布を取り出そうとすると、手で制された。

「いいから」

「……でも」

「先輩にいいかっこさせといてよ」


 午前の授業もさぼらせてしまって、パン代も払わせるなんて申し訳なさすぎる。でも、そう言われたら、これ以上言うのも何かしら。

「……ありがとうございます」

「どういたしまして」


 他愛もない話をしながらパンを食べていると、ふいに、ジルバルトが切り出した。

「ブレンダは……何か雨に特別な思い入れでもあるの?」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ