勢い余って
お久しぶりです!
お待たせしました!!
完結目指して頑張ります!!!
「アレクシス殿下が、休学……」
「ああ」
ボクの言葉に頷くと、クライヴは首を傾げた。
「さて……ブレンダ嬢の恋心の行方と、休学が無関係とは思えないがーー」
アレクシス殿下は、夜会の日にブレンダにかけた偽魔眼の力を解いた。
休学は、その罪悪感からだろうか。
そういえば、ブレンダは昨日アレクシス殿下と話をしたとも言っていた。
クライヴがいくら親友とはいえ、アレクシス殿下とブレンダの秘密に関わることを話すのはーー。
「まあ、そんなことはどうでもいい」
「え?」
あっさりと切り捨てた親友は、にやにやとした顔でボクを見つめる。
「それで?」
「それでって……」
「私はーー親友の惚気が聞きたい!!!!!」
公爵子息にも、生徒会長にもあるまじき大声に、きぃんと耳が痛む。
「……うるさ」
思わず耳を押さえると、クライヴは笑った。
「うるさくもなるさ。ジルが嬉しそうで私も嬉しいんだ」
「……ありがと」
真っ直ぐすぎる表現に、気恥ずかしくなる。
昔からーークライヴのこういうところは、眩しくて尊敬している。
「どこが好きなんだ? いや、いつ恋に落ちたんだ? そして、想いを通わせたのはいつ? そのときの言葉は? 告白はどちらから……」
「うるさいな」
前言撤回。
やっぱり、少し鬱陶しい。
「ぜんぶ、秘密。ボクとブレンダだけのね。……でも」
ボクは、クライヴを見つめる。
「ブレンダにさっきプロポーズした」
そのくらいは親友に報告すべきだろう。
「………………んん?」
おかしいな、と耳を叩いた親友は、首を傾げた。
「すまない。私の耳の調子がおかしいようで。……それで、なんて?」
「ブレンダにさっきプロポーズして、オッケーもらった」
「………………は? はぁ? はぁぁああー!?」
またもや公爵子息や生徒会長にはあるまじき大声を出したクライヴは、ボクに詰め寄った。
「ジル!!! なんで、そんな大事なことを早く言わない!!」
「……今言ったじゃない」
「それもそうだな。……おめでとう! だが、なぜもっと、早くーー!!!」
「ふはっ!」
拍手をしたり、打ちひしがれたり、忙しい親友に思わず笑う。
「笑い事じゃないぞ、ジル。これは由々しき事態だ。ジルが早く言ってくれなかったこともそうだし、まさか私の先を越されるとは」
「え、まだミラン嬢にプロポーズしてなかったの?」
あんなに幼少期からこじらせ……熱烈な初恋を聴かせ続けられたボクからしたら、そっちの方が驚きだ。
「だって、相手はミラン嬢だ」
「そうだね」
「私がずっと恋焦がれやっと婚約まで漕ぎ着けた相手だぞ? 勢いあまってプロポーズしそうになったことは何度もあるが、それで幻滅されたら……」
勢い余ってプロポーズして、幻滅。
「え」
「え?」
先ほどのことを思い出す。
別に、プロポーズするつもりはなかった。
だって、そもそもブレンダの告白が予想外だったわけで、事前に何も準備していない。
足元まで、血が下がっていく。
「ジル、大丈夫か? ……おい、ジル!」
……ごめん、ブレンダ。
情けなさに幻滅したよね。
ーー最後に見たのは、生徒会室の天井だった。
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