表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

141/150

初秋

お待たせしました!

(ブレンダ視点)


 楽しかった夏季休暇や小テストも終わり、また今日から本格的に学園での授業が始まる。


「……」


 鏡に映る自分を見る。

 鏡に映る私は、昨日までの私とは違っていた。


 身だしなみを必要以上に時間をかけて行なっていた私。

 アレクシス殿下に恋をしていた私。

 その私は、昨日、消えてしまった。


 ううん、そんな言い方は正しくないのかもしれない。アレクシス殿下に、私は恋をしていなかった。


 恋をした気持ちを植え付けられていただけだったのだから。


「ぜんぶ、ぜんぶうそだった……」


 嘘で偽物で、私の意思とは無関係なもの。


 どうして。


 なんで。


 やっぱり恋なんか。



 そう恨む感情は、確かに私の中にある。


 ……でも。アレクシス殿下の告白を聞いた昨日よりも、今日の気持ちは少しだけ落ち着いていた。


 私は偽物だったとはいえーー、「恋」を知ることができた。

 私に程遠いと思っていたもの。

 父のようにはなりたくないと、遠ざけて、考えないようにしていたもの。


 アレクシス殿下がいなければ、もしかしたら、一生経験できなかったかもしれない。

 少しだけ、そう思う。


 そう思うことができるのは。

「大丈夫」


 ーー鏡に映る私ににっこりと笑って見せる。

 歪で、それこそ、他の人から見たら見るに耐えない笑みかもしれないけれど。


 それでも。


「ーー大丈夫」


 私は、恋なんて、信じられない。でも、なぜだか、不思議と彼のその言葉なら信じられる気がするのだ。

 自分におまじないをかけるように。

 もう一度、昨日のジルバルトの言葉を反芻して、空気を吸い込む。


 初秋の少しだけ冷たい空気が、肺を満たした。





◇◇◇



「………あ」


 いつものように女子寮の前でルドフィルは待っていなかった。

 ルドフィルに、謝らないといけない。

 私は、ルドフィルにとても酷いことをしたんだもの。


 謝って、許されることじゃないかもしれないけれど。


 夏季休暇後のダンスパーティーで、ルドフィルのパートナーを務めた私は、それなのに、ルドフィルを放って、アレクシス殿下のところに行った。


「私も……ずいぶん、身勝手だったわ」


 アレクシス殿下に、話があるから、生徒会室に来て欲しいと言われて行き、そこで真実を知ったのよね。


 でも、その私の行動で、ルドフィルを傷つけてしまった。

 ルドフィルは、私の一番の従兄弟で、それで……私に恋をしてくれていた。


「愛想がつきたわよね……」


 ルドフィルは、優しい。

 でも、偽物とはいえ恋を経験した私からすると、私が恋した相手に同じことをされたら……幻滅してしまうと思う。


 だから、優しいルドフィルに愛想を尽かされたとしても、仕方ない。


 でも、仕方ない、ですませていいことじゃない。


 傷つけたのなら、謝らないと。謝ってももうどうにもならないかもしれないけれど。

 顔も見たくないと言われてしまうかもしれないけれど。


 それでも。


 私は、男子寮の方へ、走り出そうとして……。

「ブレンダ?」

「……ルドフィル」


お待たせしてしまいすみません。

これから、定期的に更新していきます。

また、ふじさきやちよ先生のコミカライズが始まっております!!!

とっても素敵で可愛らしいブレンダやミラン、ヒーローたちをぜひ、ご覧ください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
初めて感想送ります。 私もコミカライズから来て一気読みしました。 やっと魔眼の力から解放された…!!殿下の執着が怖すぎだったので、ブレンダが解放されて安心しました。 お忙しいとは思いますが、続き待…
[一言] コミカライズから来ましたが… どいつもこいつも気持ちの押しつけで気持ち悪い。 主人公も愚かで男性陣も魅力無し。 複数からモテたい女性の理想を入れているのかもしれないですが、 感情移入もできな…
[一言] コミカライズから来ました。 いやー、絵が可愛くて話の続きも気になるし〜と思ってここに来たのに、殿下が怖すぎてめっちゃビビりました。もはやホラー… 傷付いたブレンダの心が早く癒えるといいな。…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ