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【書籍2巻2/10】感情を殺すのをやめた元公爵令嬢は、みんなに溺愛されています!【コミカライズ】  作者: 夕立悠理
三章

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似た者同士

 ――翌朝。

「ん、んん……?」

 何か重いものがどすどすと、私の上で飛び跳ねている。

 ミランの家は、大型犬でも飼っていたのだろうか?

 そう疑問に思いながら、目を覚ます。


「あー、やっと起きた!」

 嬉しそうに、私を見つめるぱっちりとした青い、瞳は――。

「弟君?」

 若干まだ寝ぼけながらマインを見つめると、マインは不機嫌そうな顔をした。

「マイン!」

「ええと……マインくん?」

「うん。おはよう、ブレンダ!」

 マインは昨日とは打って変わって、かなり上機嫌だ。昨日までこいつ呼ばわりだったのに、ちゃんと名前で呼んでもらえている。


 そのことに、感動しつつ、疑問をぶつける。

「どうして、この部屋に?」

「ブレンダに謝らないといけないことあるから」

 マインは、ベッドから降りると、まっすぐに私を見た。

「泥団子投げたりとか、こいつや大嫌いとかいったりして、ごめんなさい」

「……はい。では、仲直りですね」

 私もベッドからおりて、マインに視線を合わせる。

「これからよろしくお願いします、マインくん」

「こちらこそよろしくね、ブレンダ」

 屈託のない笑みは、とても可愛らしい。

 その笑みに癒されつつ、尋ねる。

「ミラン様とも、仲直りできましたか?」

「うん。姉さまと仲直りできた!」


 ……良かった。プランYまで考えていたけど、必要なさそうね。

「ぼくは姉さまが大好きだし、姉さまもぼくが大好きだって」

「ええ。それは良かった」

 私の言葉に大きく頷くと、マインは満足したのか部屋から出て行った。

 ……とりあえず、着替えよう。

 服を着替え、ダイニングに行くと、もうミランもマインも席についていた。

「おはようございます」

「ええ、おはよう。ブレンダさん」

「ブレンダ、おはよー!」


 昨夜用意されていた席は、ミランと離れていたのに、今朝はミランの隣に座っているマインを微笑ましく思いながら、席に座った。

 侯爵邸自慢のシェフの朝食はとても美味しく、和やかに朝食の時間は過ぎた。

 ――そして、朝食が終わったあと、ミランは私の下へ来ると、手を握った。

「本当に、ありがとうブレンダさん。私、ずっとマインに嫌われると思ってたの」

「ぼくは、姉さまが大好きだよ!」

 元気に挟まれた言葉に、ミランは大きく頷いた。


「ええ。私もマインが大好きよ。ブレンダさんのおかげで、お互いの誤解が解けたわ」

「いえ……、私はきっかけをつくっただけですから」

 仲直りが出来たのは、二人の歩み寄りがあったからだ。

「ですが、良かったです。仲が良いに越したことはありませんから」

 そう言って微笑むと、ミランもマインも微笑み返してくれた。


「それでね、今日の予定なんだけど……、ほら、いつか一緒に合奏がしたいって話してたじゃない?」

「はい」

 ミランはフルートが得意で、私は、バイオリンを少しかじっている。

「マインも入れて、三人で合奏するのはどうかしら?」

「素敵ですね!」

 マインはどんな楽器を弾くのだろうか。

 マインなら、どんな楽器も似合いそうだけれど、イメージで言うと……。


「マインくんは、何が得意ですか?」

「ピアノ!」

 イメージ通りだった。

 自分の予想があっていたのが嬉しくて、小さく笑うと二人とも不思議そうな顔をした。姉弟なだけあって、色彩こそ違うもののその表情はそっくりだ。


「二人とも、お顔がそっくりですね」

 私が指摘すると、二人は顔を見合わせて、それから笑った。

「姉弟ですもの」

「ぼくは姉さまの弟だもん」

 ――得意げなその表情もそっくりで、私はまた噴き出してしまったのだった。


いつもお読みくださりありがとうございます。

本作の書籍が発売中です!!

応援していただけると、とても嬉しいです!

何卒よろしくお願い申し上げます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 手のひらを返したかの様に懐くマイン君(笑)
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