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【書籍2巻2/10】感情を殺すのをやめた元公爵令嬢は、みんなに溺愛されています!【コミカライズ】  作者: 夕立悠理
三章

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天文塔

 翌朝。今日もいい朝だ。

 カーテンを開けて部屋着に着替え、大きく伸びをする。

 すると、自室の扉がノックされた。誰だろう。

「ブレンダさん」

「はーい!」

 その声は、寮母さんだった。慌てて、鏡で姿を確認してから、扉を開ける。

「お届け物よ」

「ありがとうございます」

 有難く封筒を受けとり、扉を閉じる。

「……あ」


 学校からのものを示す封がしてあるそれを、緊張しながら丁寧に開く。

 中に入っていたのはやはり、前期の成績表と書かれたものと、期末テストの結果表と書かれたものだった。

 どちらから見ようかな?

 悩んだ挙句、一番気になっていた、テストの結果から見ることにした。

 深呼吸をして、一度目を閉じる。

「せーの!」


 それから掛け声とともに、折りたたまれた結果表を開いた。

 まず、最初に目に入ったのは私の名前。うん、そうね間違いなく私――ブレンダの結果表だ。

 次に語学や、数学など様々な科目名とその点数が記されていく。

 全科目ほぼ満点だけど、その結果は――……。

 

 総合順位:1

「や、やったー!」

 目を皿のようにして、何度も何度も総合順位と書かれた部分を見る。

 何度確認しても、そこには1と書かれていた。

 喜びを噛み締めながら、前期の成績表も見る。成績表は、秀を意味するA+が並んでいた。

 

 深呼吸をして、結果表と成績表を丁寧に封筒に入れる。

 そして――。

「わーい!」

 ベッドにダイブした。スプリングがぎしぎしと音を立てる。

 努力した結果がこうして目に見える形でわかるのは、とても嬉しかった。

 しばらく、ごろごろとベッドの上を転がってから、ふと思い出した。


「そうだ、見学……」

 もう、前期の成績もでてるということは、成績証明書の発行もできるということ。

 今日中に、成績証明書を発行してもらって、今度、天文塔に見学に行ってみよう。

 でもその前にまずは、夏季休暇の課題からよね。

 ゆっくりとベッドから起き上がると、勉強机に向かい、課題を解いた。



◇◇


 ――そして翌朝。

 昨日の夜で、夏季休暇の問題集はすべて終わった。残りの夏季休暇の課題は、芸術作品を作ることだけだ。

 

 その芸術作品は、何か思い出に残るようなことをした後に、製作しようと考えている。

 ……そして、私の手には、成績証明書がある。昨日の夕方に発行してもらったものだ。


 進路相談の先生に聞いたところ、見学は予約なしでできるらしい。

 なので、今日、天文塔に行ってみることにした。

「……ふふ」

 とっても楽しみだ!

 髪の毛をもう一度丁寧に櫛で梳かしてから、自室を出た。



 乗合馬車に乗って、天文塔へ。

 天文塔は、国内最高峰の研究機関なだけあって、想像以上に大きかった。

「わぁ……」

 乗合馬車から降りると、まるでお城のような天文塔に圧倒される。

 ――ここが、自分の目指している場所なんだ。

 そんな場所を見学できることに、喜びと、緊張が湧き上がってくる。

「こんにちは」

「こんにちは」

 しばらくその荘厳さに圧倒されていると、警備員らしき男性に声をかけられた。


「……学生さんということは、見学かね?」

「はい」

 制服を着ていったので、私が生徒だとわかったのだろう。

「……ふむ。今日は見学が多いね」

 男性に塔内に案内される。

「学生証と、成績証明書は、持ってきたかね?」


「はい、こちらです」

 差し出すと男性は丁寧に受け取り、代わりに、臨時入塔証を渡してくれた。

「成績証明書と学生証は、帰るときに臨時入塔証と交換するきまりになっておる」


「わかりました。ありがとうございます」

「良い返事だ。ケイリー」

 男性が、そう言いながらベルを鳴らすと、女性が出てきた。


「はーい」

「本日二人目の、見学じゃ。よろしく頼むよ」

「わかりました塔長」

「えっ」

塔長? この人警備員じゃなくて、塔の最高責任者である、塔長なの!?


 驚きのあまり、ぽかん、と口を開ける。

 わりと友好的だったけど、あんなフランクな感じでいいんだろうか。

「はっはっは、今回も塔長の適当さに驚いてますね!」

「ほほ、わしも驚かせるつもりはないんじゃがなぁ……」

 ええ、本当に最高責任者なんだ。

 驚きながらも、塔長と別れ、ケイリーさんに従い塔を見て回る。


「ごめんね、見学と行っても、実際の研究内容は見せられないんだけど……」

「いえ、とても勉強になります」


 休憩スペースや、階段の壁など、いたるところに紙やペンがあるのは、思いついたことを忘れないようにするためだそうだ。

 その他に驚いたことは、ビリヤード台やチェス盤など様々な遊び道具や楽器などが、エントランスだけでなく、会議室にもあったことだ。思考が行き詰まったときなどに、こういったものでリフレッシュするのだと、ケイリーさんは教えてくれた。


「あとは……、ちょっとお茶をいれてくるから、三階で待ってて」

「わかりました。ありがとうございます」


 三階までいったものの、三階は明かりがついておらず、どの部屋にいればいいのか全く分からない。かといって、明かりをつけて資料などがだめになってしまったら困る――こういった研究機関では明かりに極めて弱い資料もあるのだと聞いた――ので、どうしたものかと頭を悩ませた。


「……ブレンダ」

「わっ!」

 名前を囁かれたかと思うと、誰かに手を引かれ、バランスを崩して倒れこむ。

「いた……くない?」

 あれ、痛くない? 思いっきりこけたはずなんだけどな。

そう思い、目を開けると――……。

暗がりの中でも新緑の瞳は、変わらず強い意志を宿していた。


「……アレクシス、殿下?」

お読みくださり、ありがとうございます!

お読みくださる読者様のおかげで、本作の書籍化が決定しました!!

発売日は


9月20日です!!


TOブックス様のサイトなどで、特典SSがつくそうです!


何卒よろしくお願い申し上げます!!


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[一言] アホクシス何しに来たヽ(`Д´)ノ
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