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暇のまにまに

作者: 百鬼 夜光


現在、俺は暇ではない。

部屋のベッドで寝ているのだが、暇という訳ではない。

今日はあと1時間後に家を出なければいけない用事があり、万年寝不足の俺としてはこの1時間でさえ可能ならば寝ていたいのだ。

従って暇ではない。寝なければいけないのだ。

では何故キーボードを打っているのか。


手持ち無沙汰という言葉がある。

何となく何かしらを手に持っていないと落ち着かないような、そんな気がする時に使われる言葉だ。そしてそれは往々にして街を歩いている時や、人を待っている時など、起きて活動している間に使われる。少なくとも寝ている、または寝ようとしている奴の使う言葉ではない……と思う。


手持ち無沙汰なのだ。

自分語りになるが、俺は寝る時にも手持ち無沙汰になる。何かを聞いていないと、見ていないと、果ては活動していないと眠れないほどに。

寝るために起きているなんておかしな話だが、事実そうなのだから仕方がない。


どうせ手持ち無沙汰で眠れないんだ、今日はその原因を考えてみよう。なぜ俺は寝る時まで手持ち無沙汰になるのか。

可能性があるとすれば多分、異常なまでに落ち着きが無いのだと思う。そういえば、幼稚園から高校までの通信簿には「とても素直で真面目な正直者です」と書かれ続けたが、同じように「授業中や集会中に落ち着きが無いように見受けられます」とも書かれ続けた。

障がい者について学んだ経験が無い人には馴染みの無い言葉だが、『多動』という言葉がある。これは平たく言えば落ち着きが無いことなのだが、これがそのまま障害になってしまう事がある。しかし、俺にはそういった障害がある訳ではない。

つまり、ただ単に落ち着きが無いだけなのだ。これでは落ち着きだけでなく救いようが無い。


しかしまあ、自分に対して「救いようが無い」なんて言うのも、それこそ救いようが無いため、次は解決策を考えたかった。過去形だ。


そう、時間なのだ。もう家を出なければならない。

俺はこの1時間を、『自分が落ち着きのないまま大人になってしまった』という無様な考察を立てるためだけに浪費してしまった。そして深く考えすぎたのか、解決・改善策まで行き着かなかったあたり、ますます悲惨である。


しかし、自分の思考を形に出来るのは非常に楽しい。自己顕示欲オバケの俺としては、投稿する作品として残せる点も有意義だ。

普通はこういった文章作品を作る際には、ちゃんとした推敲を幾度となく行うものだが、今日の俺は眠るためにポチポチとキーボードを弄っていただけなのだ。そんな高尚な行程は必要ない。

結果として眠れなかったが、暇のまにまにキーボードを打つのも存外良いものかもしれないと思えただけ収穫はあったと言えよう。


では、家を出る事にする。

俺の睡眠に付き合ってくれてありがとう。

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