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吾輩はロンギヌス。新たな使い手はまだ現れない。
悪の化身、邪宗亭モンペロツェッペリン大帝を、カルメラポン介弥次郎連合(チーム名)と共に討ち取ってから長き月日が流れた。
神槍である吾輩の力は天を割り、地を揺るがす。平和の時代には無用の長物だ。争いの火種になることを避けるため、自ら封じられる道を選んだ。悔悟はなかった。吾輩が封じられている間は平和な世界の存続が確約されるのだ。
それも何時まで続くか知れぬ。 闇ある限り邪宗亭(以下略)は必ず蘇る。その刻が来れば、自ずと使い手は吾輩を見出すであろう。
ある時、雷鳴の響きと共に溢れんばかりの光を吾輩は浴びた。いよいよか。どうやら邪宗亭は吾輩を隠居させるつもりはないようだ。新たな使い手よ、共に困難を乗り越えようぞ。
「うわー、懐かしー」
間の抜けた声がしたと思うと、吾輩は長く過ごした褥から持ち上げられた。
毛玉のついた黒い服、乱れた頭髪に不精髭の男が吾輩をしっかりと握っている。これが吾輩の主だと……!? 見た目が全てとは言わぬが、冴えん奴だ。
よせと、払いのけたくなるほど吾輩を見つめている。魅入られてしまったか。無理もない。精霊神により鍛えられた吾輩の体は、宝石など及びもつかぬほど美しいのだからな。
と、自惚れた罰が当たったのか、吾輩は無造作に放り投げられた。もっと丁重に扱わんか、バカ者め。しかも吾輩の声も聞こえぬ程未熟者らしい。先が思いやられる。
吾輩の心配を他所に、男はどこかに電話をかけた。仲間に連絡を取っているのか。その割に男の顔色が優れないのが気がかりだった。




