不公平な神様が続出
世の中には
「他人はどうなってもよいから、私だけは特別扱いで・・・」
と頼みにくる人がいる。
最近は特に多くなったようで参拝者が絶えない。
だが、公平を大切にする神には大学の裏口入学のような特別枠は無いから、当然これを無視することになる。
そうすると、その特別料金を狙う不公平な神様が現れて、料金を吊り上げようとする。
戦後の日本は思想や信教の自由が認められて、新しい宗教が雨後の筍のように現れた。
そしてその大半は、オームやライフスペースが代表するオカルト集団や、法の華や統一協会のような詐欺適悪徳宗教である。
なぜ人間は淫祠邪教が好きなのか?
なぜ宗教に大金を出すのかと思い悩んだ末に、大神様に聞いてみた。
「神は私情を挟んではいけないし、もちろん応援や手助けもしてはならないと云われますが、少し厳しすぎはしませんか。
このまま見過ごすと、多くの人が騙されて地獄に堕ちるでしょう。
まがい宗教に苦しめられている人だけでも、なんとかしてやることはできませんか?」
すると大神様は
「人を騙すのはもちろん悪いが、と云って世の中から悪人をすべてなくすことはできません。
悪人だって時には善いこともするだろうし、善人でも魔のさすときはあります。
だから、善人か悪人かを区別することは非常に困難です。
もう少し具体的に云うと、蛇が蛙を呑んだからといってあなたは蛇を罰しますか?
生きたままの鰻を捌く料理人を見て、可哀想な鰻を殺す料理人を咎めたいと思いますか?
我が子に厳しい母親を見て、叩く親が悪で叩かれる子が善だと思いますか?」
聞いているとなるほどとは思うが、なんだか釈然としない。
だから勇気を出して聞いてみた。
「神様の云われることはもっともだと思いますが、人間は心を持っていて、良い心と悪い心を使い分けます。
だから、そのときの心の状態を見て善悪を判断できるのではありませんか・・・」
「そうですね・・・。だが、あなたはご自身の心が信用できますか?
人間は皆、善いとわかっていてもできないことはあるし、悪いことだからしてはいけないと思っていても、つい手を出すことはあるでしょう。
自分の心だって、コントロールするのは非常に難しいものです。
だから、他人の心の状態を判断するのは容易ではありません。
もし、あなたが自分の判断は間違いないと自信があれば別ですが・・・」
この大神様の説明には説得力があって反論できない。
やはり、神には
《善因には善果、悪因には悪果》
という公平さが必要で、
「私だけには特別に」
という願いを聞き入れることはできないのだと知る。