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神様になってみませんか [完結]  作者: こうちゃん
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神様になってみませんか

ある日突然の連絡で

「神様になって見ませんか」

というお誘いがあった。


日頃宗教嫌いを自認している私は、そのことを理由にして丁重にお断りすることにした。


ところが神様は

「だからあなたにお願いするのです。特定の宗教に頼っている人は、いくら信仰が篤くても神様には向かないのです。」

と云う。


云われてみれば確かにそうで、神様が特定の宗教に偏っていては勤まらないだろう。


神様から白羽の矢を立てられては逃げ切れないと、渋々ながら

「臨時見習いでよければ」

と承知することにした。




約束の時間に社務所へ出向くと

「ここは私たちの職場です。神様はこちらへどうぞ」

と拝殿に案内される。


拝殿の正面奥は一段高くなっていて御簾に仕切られた奥側に神様の御席が用意されているようだ。


「大神様がお待ちです。私たちは奥には入れませんのでどうぞ」


と職員に促されて、恐るおそる御簾をくぐる。



「やあ、お待ちしていました。年末年始は大勢の参拝者があっても一々対応できませんから、座っているだけでよいのですが、春先はいろいろの行事が続いて手がたりません。よろしくどうぞ・・・」


屈託ない大神様の表情に緊張をほぐされて、早速聞いてみることにした。


「私は特別な修行もしていませんし、もちろん資格もありませんが、それでもよろしいでしょうか。」


「あなたは思い違いをしているようですね、資格や修行などというものは神に仕える神主には必要ですが、神には必要がありません。神は大勢の人の悩みや頼み事を聞いていればよいのです。神は、それに対して自分の意見を云う必要はないし、また何かをしてあげることも要りません。あなたはただ、神様であれば良いのです。

その内においおいと分かってきますから、焦らないでゆっくりしていてください」


と、意外な大神様の話に戸惑った。

神は不幸な人を救って幸福に導く存在だという、私のイメージとは程遠いものだったからである。


大神様はその不審に答えるように

「ただ黙って聞いているだけということが難しいのです。人は他人の悩みや苦しみを聞いているうちに心を動かされます。だが神様は、それに同情したり、自分の意見を述べたり、手出しをしてはいけないのです。このことは、あなたへの宿題にしておきましょう。」



その後、私にはこの宿題が重くのしかかって、ずいぶんと苦しめられることになったが、順を追って書き綴ってみようと思う。


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