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幸せな黒い猫  作者: せんせい
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鳥籠の雛鳥 中編

先日健康診断で二年前と同じ数値だったせんせいです。リバウンド成功。痩せたいと思います。

振り向くとそこに黒い猫がいた。迷い猫かな?周りに人影は無い。それにこんな狭い場所に大人が入れるわけがない。

黒猫が小さな口を開く。「だから怖がると言っただろう、千景」「怖がってない驚いているだけじゃないですか?先生」黒猫の耳元から別の男の人の声が聞こえてくる。会話している?黒猫がもう一度私を見る。


改めて少女を観察すると確かに恐怖というより驚きの表情をしてる気がする。仕方ない。

「子供(そういえば名前は何だろう?)名前は何ていう?」

一瞬沈黙して「なまえ?」少女が不思議そうに聞き返す。うん?首のマイクから声が聞こえてきた。「先生、僕が話すよ」


少女を観察していて気になる事があった。いつから施設で育てられたか、この幼さだ外の世界をほとんど知らないのだろう。もしかしたら実物の猫と触れ合った事もないかもしれない。ならば。

「こんにちわ僕の名前は天野千景。君の目の前にいる無愛想な黒猫は先生」

「おい」「先生」先生の言葉を制止して彼女の出方を待つ。彼女は小さな口を開いた。

「あまのちかげさんにせんせいさん」

か細いが確認するように言葉を発している。

「そう。偉いね。僕たちは君とお友達になりたいと思って会いに来たんだ」「おともだち?」彼女は不思議そうな顔をする。


初めて会った、せんせいという名前の黒猫とせんせいの首元から聞こえるあまのちかげという名前の男の人が、私とお友達になりたいと言う。なってくれるの?

と思わず聞こうとした瞬間周囲が明るくなり暗くなる。ライトで照らされたみたいだ。振り抜くと離れた場所から声が聞こえきた。


「通気口が開いてるぞ」

ダクトに入った事に気づかれたようだ。このままだと見つかるな。仕方ない。

「おい子供話を聞け」「は、はい」

子供が目を合わし聞く態勢になる。良し今度は会話が出来そうだ。

「お前も分かるようにこのままここにいたら奴らに見つかる。お前は見つかりたいか?」もう一度背後を確認した子供が俺の目を見て「ヤダ。戻りたくない」と顔を振り言う。「というわけだ。千景良いな?」


相変わらず強引なんだから先生は。だがしかしこのままここにいても見つかるだけだろう。溜息を吐く。

「分かりました先生。予定通り脱出してください。落ち着いたら話をしましよう」


せんせいの後をついていくとクリーム色の空間に出てすぐ近くのドアに入った。そこはファイルが入った棚やいくつかのダンボールが置かれた倉庫のようだった。そしてその先に小さな窓があり開かれていた。

顔を出し下を覗くとここが二階以上の高さにある事が分かった。私はせんせいへ視線を戻した。せんせいは身軽に跳躍し窓枠に飛び乗り躊躇なく「さあ飛び降りるぞ」言った。

私はもう一度窓の外を覗いた。

幸せな黒い猫を読んで頂きありがとうございます。次回は月曜更新予定です。よろしくお願いします。

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