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始まりの風 1
初投稿です。未熟な点が多いかと思いますが、よろしくお願いいたします。
私が最後に見た姉の姿は、彼女から向けられた強い憎しみのこもった視線と口汚い言葉の二つだった。姉を私から引き離し、宥めようとする次兄と、両親を呼びに走った三兄。長兄は私を抱きかかえ、部屋を飛び出しながら小さくつぶやいた。
『まさか、こんなことになるなんて』
その言葉の意味を分からないまま、私は胸の奥底から湧き上がる嫌悪感に震えていた。忘れたくても忘れられない記憶。
次の日、家から姉の姿が消えていた。長兄は、全寮制の学校に通うことになったのだと私に説明した。私は、なぜ姉に憎まれているのかも姉が家から消えたのかも知らなかったし、今まで知ろうとも思わなかった。だが、今はそのことを後悔している。その後何らかの形で姉と話をしておけば、こんなことにはならなかったのではないか。分かりあうことはできなくても、理解しようと歩み寄ることはできたのに、と。