会話2
「落書きの犯人を捕まえましょう」
また面倒臭いことを彩美は言い出した。
「やだよ」
「なんでよ」
間髪入れずに彩美は聞き返して来た。
「襲われた二人っていうのは大分評判が悪かったらしいじゃないか、なんでそんな奴らの敵討ちをしないといけないのさ」
彩美は少しの沈黙の後に答えた。
「あなたは落書きを描いた犯人を悪魔から助けるのこれならどう?あなただって悪魔関連で困った時誰かに助けて貰ったから今があるんじゃないの?私は化山君に助けて貰って本当に良かったわ」
確かにおれは以前彩美を助けたことがある。だからこそ今彼女と接点がある訳でそうでもないとおれみたいな友達のいない根暗男に誰も関わろうなんて思わないさ。
「おれが悪魔に取り憑かれた時、確かにおれは大勢の人に助けて貰った。確かにそうなんだよな」
大勢の人に助けて貰って大勢の人に迷惑をかけ大勢の人を悲しませた。当時おれは10才で自分自身では何も解決できなかった。そして未だにおれは当時の後遺症に苦しんでいる。
「私はちゃんと感謝してるんだから、マイヒーロー」
「そんな言い方されたら断われないじゃないか」
卑怯な奴だよ、そう思った。