お弁当
昼休み教室の窓際の席で、昨日の屋上での出来事を彩美と話していた。おれは窓の外ばかり見ている。
「結局壁に落書きしたのは心内じゃなかったらしいな。魔法陣を描いたのは別人で、たまたま屋上にいた心内に悪魔が反応して取り憑いた」
どうやら犯人捜しは振り出しに戻ったようだ。
「心内も自分で抱え込まずにもっと他人に頼れば良かったんだ。本人の力だけじゃどうしようもない時は他人に頼っていいんだよ。」おれは窓を見ながらそう言った。
「そう思うならちゃんと友達作りなさいよ。机とばっかり会話しても机はいざという時助けてくれないわよ。」彩美は弁当を食べながらひどいことを言ってきた。否定はしないけど。
「おれだって傷つくんだぞ」
彩美はほほ笑みながら答えた。
「傷つかなくて大丈夫よ。化山君が困っていたら私が助けるもの」
こいつは突然どうしたんだ?悪魔にでも取り憑かれたのか?しかしそういう気配は無い。
「な、なんだよ急に」
「ご馳走様、化山君のお弁当おいしかったわ」
「弁当?」
よく見たら先程まで食べていた彩美の弁当はおれの弁当だ。なんてやつだ。他人の弁当を許可なく全部食べてしまうなんて。
「なんてことするんだよ」
「なによいやしんぼうね」
いやしいのはお前じゃないかと反論する前に彩美は続けて言った。
「食事中に窓の方見てぶつくさ言ってるからお弁当も私の口の中に逃げだすのよ。そんなにお腹が減ってるなら私のお弁当食べていいわよ」
なんだ彩美は弁当を持って来ているのか。なら何故おれの弁当を食ったんだ。彩美の謎の行動にちょっと腹が立ったがせっかくだから弁当を頂くことにした。
「パカッ」これは弁当箱を開けた時の音だ。彩美の弁当を開けるとハート型に切られたハムの上に海苔で「LOVE」と書かれている。どうやら父親の弁当を間違えて持ってきたらしい。彩美にもこういうおっちょこちょいな所があるのだなそう思った。
「私もたまにはデレないとただの嫌な女になっちゃうでしょ?」
彩美は満面の笑みでそう言った。
正直少し可愛いと思ってしまった。いつデレたのか分からないがあまり触れないでおこう。
「ねえ、美味しい?」
「ああ」
こんな感じでおれの日常は過ぎていく、おれも心内を見習って前進しなければいけない。とりあえず友達を作ろう、そう誓った。




