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冒頭
17歳の少女が自らが通う高校の壁に奇妙な落書きを描いている。彼女は誰にも見つかるまいとその表情は辛辣であった。
同じくしてその建物の屋上で少年が飛び降りようとしていた。誰にも見つかるまいとする少女とは対照的に少年には誰かに見つけて欲しいという願望がそこにはあった。
少女が奇妙な落書きを書き上げた時、閃光がほとばしり彼女はその行動に対する実りを感じた。しかしそれはまばたきをする内に覆された、目の前に残ったのは壁に描いた落書きだけであった。
少年はあっけにとられていた。自分は確かに飛び降りたはずなのに、生きている。誰かが自分を掴み上げ屋上に引っ張り上げたのだ。
彼は自分を引っ張り上げた何者かの容姿を見た、彼にはその姿が悪魔に見えた。