休日の過ごし方
このおはなしは 人が死にます
首を狩るので手伝ってくれと、僕に電話があったのはつい先程のこと。
日曜の朝、まだ僕はおきたばかりで、時計もまだ12時を回っていないような時間だった。
親友は僕のカノジョだった肉の塊が入った袋を肩に担いで、僕の部屋を笑顔で訪れた。
親友は、心底参ってしまったという様子で玄関に肉の塊を下ろし、膝に手をやり一息つく。
参ったよ。一発ヤろうとおもっただけなのに暴れだしやがってさ、この売女。
ちょっと首絞めたらすぐしんじまってよー。
親友はまったく悪びれずに事の顛末を僕に説明した。
黒い大きなゴミ袋を何重にも被せられたカノジョの肉体は、身動きひとつせず玄関に置き去りにされている。
親友は一息つくと、さっさと終わらせてしまいたいのか、急いでゴミ袋を僕の部屋の風呂場に担ぎこんだ。どうやら風呂場で首を落としたいらしい。
おい、のこぎりとか包丁とか、何でも良いから切れそうなものもってこいよ。
親友は横柄な態度で僕に命じた。僕は言われるままに、家にある鋭利で頑丈な数種類の刃物と、
暴れだしたりしないように、引越しのときに使った頑丈な布のガムテープを準備した。
風呂場では、ゴミ袋を引き剥がされたカノジョの死体が冷たいタイルに横たわっていて、その傍らで親友は面倒くさそうに煙草をふかしていた。
ナニぼっと突っ立ってんだよ。さっさとやっちまえよ。お前のカノジョだろ?
僕はうなずいて、包丁を一本だけ右手にしっかりと握る。
親友は青ざめた。一瞬後に、赤くなっていた。
右の耳を失った親友は僕に罵声を浴びせながらなき、わめき散らして狭い風呂場の中を逃げ回る。
僕は容赦なくきわめて冷静に親友の足を払い、横倒しにしてから彼の体に馬乗りになった。
親友は失った自分の耳を押さえながら、僕の顔をじっと見つめた。言葉にならない何かで唇をわななかせながら、まるで豚の顔をしていた。
僕は親友の首筋に包丁の刃を当てて。
なんだ、ガムテープいらなかったなぁ。
そんなことを考えながら、僕は人間二人分のばらばらになった肉片をゴミ袋に詰める。
すっかり夕方だった。時計は六時をまわったころ。
僕は取り合えず、今日一日はいい暇つぶしができてよかったな、と思った。
小説内において固有名詞を用いて人物を表現するのが苦手なんです。短い文章だと特に。
好き勝手に名前をつけて、想像の枠を読み手の方々にどこまでも広げてもらえたらそれはそれで成功と思っています