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〜見えざる世界〜
あたしは気づいていなかった。
こんな平凡な世界には、理屈が通じない出来事だってあるってこと。
今、目の前で起こってることはまさに、あたしが関わるハズの無い世界だということ。
「…死にたくなかったら、俺の後ろから離れるな」
真っ暗な道路。
月明かりすら入ってこない、ただ暗いだけの住宅街。
星の光はぼんやりと灯る街灯にかき消され、辺りはしんと静まり返っていた。
目の前にいるのは、真っ黒な短髪の男の子。
被っていたフードは彼の背中の上で風に揺れ、今では口元を覆う真っ黒な布だけ。
横から伺える漆黒の瞳は、遠くの何かを見つめたまま一瞬もブレることがない。
そんな中、未だに家に帰れずに、制服姿のあたしが思うこと。
…なにこれどゆこと?(汗)