幼なじみのお姫様。
観衆に見送られるエンディ達。
準備万端の二人は見送る観衆を背に旅立つ。
エリス(何が間違っているかといえば、この人がそんな大袈裟なモノに選ばれたって事だ)
るんるん気分のエンディ。横では大きくため息を吐くエリス。
エリス「それで…何処に向かうのですか?」
エンディ「エルダに向かう」
エリス「エルダ…ですか…」
嫌そうな顔をするエリス。
エンディ「どうしたの?」
エリス「エルダ…と言うことは…あの方ともお会いするんですよね…」
エンディは合点がいたという顔で、
エンディ「ああ…成る程ね。シオンに会いたくないのか」
ビクリと反応するエリス。
エリス「いえ…誰もそのような事は…」
愛想笑いで乾いた笑みを浮かべる。
エンディ「シオンって、何かとエリスに突っかかるからな。何でだろ?」
首を傾げるエンディ。
エリス(貴方のせいです!)
心の中で叫ぶエリス。
●魔法国家エルダ 居城
シオン「全くお父様にも困った物だわ」
城の廊下をかつかつと甲高い音を立てながら歩くシオン。その後ろを付き従うメイドのミランダ
ミランダ「どうなされました殿下?」
シオン「この所立て続けに縁談、縁談、縁談、縁談…流石に嫌気がさしてきました」
ミランダ「殿下には心に決めた方がいらっしゃいますものね…幼なじみの…」
無機質の顔のままミランダた喋る。
シオン「何を言ってるの!あんな奴の事なんて何とも思っていません。デタラメを言うのもいい加減にしなさい」
毅然と言い切るシオン。
ミランダ「…私、幼なじみとしか言ってないのですが」
シオン「うっ…」
どもり、顔を赤らめるシオン。
ミランダ「一体それはどなたの事ですか?」
無表情のままのミランダ。それが更にシオンを激昂させる。
シオン「知りません。そんなの」
ミランダ「エンディ様―」
シオン「だから違うと言ってるでしょう!」
ミランダ「―から手紙が届いています」
顔を真っ赤にして涙目のシオン。何も言わすミランダから手紙をひったくり、自分の部屋に入っていく。その時扉を強く閉める。
ミランダ「もう少し…素直になられればよろしいのに…」
●シオン 自室
蝋印の押された封筒を開き手紙を読むシオン。
シオン「萌え…とは一体?また下らない事を調べているのでしょうね…」
しかめっ面のシオン。
エンディ手紙の一文「追伸。数日中にそっちに行くと思う」
その一言を読んで、シオンは少し頬を赤らめる。
シオン「エンディが…来る」