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3 斥候

生徒会長様に忠告して三日目。

あの会長様は校内で有名人だからそこら人達の話題で耳に入ってくるし、目立つから時々視界に入ってることもあるのよ。わざわざ確認しに行かなくとも。


(・・・生きてる。意外だな、あの人一般人だよなぁ?・・・どうもが強くなっているような・・?)


三日前、初めて接触した時は何も感じなかった。なのに遠目から見てもハッキリと気配が濃くなっているのがわかった。・・・そもそも私はどうも相手の力・霊力、魔力、妖力の類いを測る探知能力なるものが苦手な私にもわかるくらいに・・。


(つーか会長様ってば凄いな。さっきまで職員室で何か小難しい話してたのに。)


今、私は自分の教室2ー6にいる。校舎の3階だ。窓際の列で先程まで担任に出席日数不足についての説教を受けていたのだ。担任の言葉を聞き流しつつ早く終わるよう祈っていたら会長が職員室に入って来た。あちらは私に全く気づく事無く用事を済ませて出て行ったけど。


しかし今は中庭で事務員のおじいちゃんと何やら話し込んでいた。


忙しい人だと思う。成績も運動神経もトップクラスで性格は少々オレ様だが他の人のために動き、人の上に立つのにふさわしい人物。

自分とは大違いだわなぁ。赤の他人のためにあんなになれないし、したくない。

だって感謝されるわけでもないし、助けられて当たり前なのだという考え方も嫌だ。



「こんにちわ〜。新谷 空さんだよねー?」


中庭を見ていたらいつの間にか横に男子生徒が立っていた。・・・えーと・・・・・・・・・・誰?

我が高校は女子も男子も制服は濃紺を基調としたブレザーだ。私服制では無い。・・・・だが、目の前にいる男はズボンこそ制服のものだが上は蛍光イエローのパーカーを着ている。校章があるであろう左胸あたりにはこれでもかと缶バッジがつけられている。


ん?・・・『ヒッキー最高!』『テスト撲滅委員会』『萌えろ闘魂!!』『ラブリィお・れ☆』・・・等と書かれている。

(・・いいなぁ、欲しいかも。どこで売ってんだろう?ぜひとも知りたい。)


ジーっと缶バッジを凝視していたら上から声をかけられた。あ、首から上見てなかった。


「あれー?君、新谷さんじゃないの?ただ人の席に居座ってる人〜?あ、オレに見ほれてる?うわ、どうしよ。オレのモテ期到来ー?」


缶バッジから顔を上げ、先ほどから私の名前を呼ぶ妙に気が抜ける話し方をするやつの顔を見た。背はそれほど高くなく、中肉中背ってやつ。

パーマがかった、染めたのではなく自然な茶色をだすふわふわとしている髪に、少し垂れ気味の目に男にしては少し小さい輪郭をしている。

女顔だなぁ。スカート似合いそうな感じで。もう少し背が低かったら女と間違われる確率70%とみた。


意外に派手な服装とかわいい顔とがミスマッチしている事はない。むしろ自然体だ。にこやかな表情とどこかふんわりとした雰囲気をもつ男は、再度問いかけてきた。


「ね〜、だんまりは困るなぁ。もっかい聞くけどあんたが新谷さんだよね〜?」


私が問いに答えずがん見してくるのに苛立ったのか?表情こそ変わらないが口調が少し乱暴になった。短気だなー、この人。

それでも私は無表情で問いに答えなかった。


理由は簡単。


(ものっそい視線を背中に感じる・・・。主に中庭あたりから。)


うっわぁ、この人会長様からの差し向けと見ましたよ。このタイミングだもん、相手は斥候ですね。けど会長様に言われて嫌々来ました・って感じでもない。・・・・ああ、もしかしなくても会長様の為に善意でここに?え?

意外なことが多い日のようでついついボソッと言っちゃいましたよ。


「友達いたんだ。」


「は?」


相手にとって第一声がこれってかなりの困惑ものだと思う。いやー、だってさぁ会長様ってプラウベートはワンマンタイプだと。ま、とりあえず会長様からの接触が来たってことは


「呪いましょうか?」

「・・・あのさぁ、さっきから何言ってんの〜?つーかやっぱ新谷さんなのね。」



目の前の名も知らない生徒は疲れたようにうなだれた。何でだ?

間違ってないだろう。会長から『呪い』について聞いたんならこれがベストな返事のはず。その反応はおかしいって。

今の心境についてアメに愚痴りたくなった私は即刻、実行に移すため席を立ち・うなだれていた不審な生徒の横を通り過ぎ旧校舎に足を進め始めた。午後の授業はサボタージュ決定!


「え?ちょ、何!?新谷さーん!?どこ行くのさー?!」


私はそこであの生徒の質問に答えていない事に気づき、教室の入り口でUターンして席に戻った。いかんいかん、忘れてました。知らん人からの質問に答える義理もないが別に問題は無いので質問に答えた。相手の名前を知らないので一時的に命名させてもらったけど。


「私の名前は新谷 空。この席は私の席であっている。以上。それじゃぁ失礼、生徒会長サマのお友達か下僕さん。」


相手は目を見開き私を見返してきた。・・・何言ってんのコイツ、って顔に書いてある。何故か私と話す人はみんなそんな表情を私に向けてくる事が多い。

・・・・なんでだろ?



空は興味が引かれるもの意外どうでもいいのでどんなうわさ話でも聞き流します。そのため校内で有名な誠を知りませんでした。もちろん昊のことも三日前以前はさっぱりでした。知ったその日にアメと情報収集して即、忠告に行きました。即行動が空の信条です。

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