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1 出会ったその後 

失敗したなぁ。ストレートすぎたか。


いやむしろ遠回しで言うのもなー。よけい私が怪しいだけか?


「どーしようか、アメ。」


私がいるのは旧校舎の図書室だ。なかなか寂れてて人が来なくて結構いい所だ。我らが母校、麻生高校には使ってない旧校舎というのがある。普段使っている校舎は10年前に増築されたもの・・だったはず。といっても少子化により全ー部新校舎に移ったんだけどさ。


そんなわけで旧校舎には普段誰も近づかない。なーんも無いしねぇ。そんなスポット、不良のたまり場になっても不思議はない。てか2年前までは不良のたまり場で一般生徒は近づかなかった。けど今はなおさらここの生徒は来ない。来たくないんだろうねぇ。

なんたってここには”お化け”が出るんだもんねぇ〜?本物の。


「・・・主。何か我に対し不愉快な事を思ってないか?」


・・・・。なんでバレるのかな。読心術使ってんの?顔には出てないはずなのにさぁ・・。

「いや、別に?なーんもないよ?」


私の目の前にいる全身黒い、和装の青年にニッコリ笑って見せた。彼ーーアメは足首まであるくらいの長い黒髪を六つに分けて首もとで結んでいる。幼い頃から見て来た姿だけど整った顔してるなぁ。元の化生が何なのか未だに知らないけど顔の部位が全て左右対称だからかな?美形ってやつだ。しかし残念ながら普通の女性はコイツをみたら大抵怯える。これでもかってくらい無表情なんだ。人形が動いてるようだって言うやつがいるくらいに。

・・・・ちなみに私はよーく見てると機嫌くらいならわかる。良いか悪いか普通、程度だが。一応付き合い長いし。



彼はアメというーいわゆる人外のもの、化生の類いだ。人間とは同一の世界に属し、人とは似て非なる存在。私たちを人間と区別するならアメは一般的には”妖怪”《ようかい》と言われるもの。”妖”《あやかし》"異形”《いぎょう》”化け物”《ばけもの》。俗称は山ほどある。


人と違い姿は千差万別。アメの今の姿だって人を模してはいるが仮の姿だ。本性は異なるし、互いに理解できないところが多々ある。人は理解できないものに恐怖する。しかし彼ら”妖怪”はそうでない。理解できない恐怖がわからない。恐怖による怒りが理解できない。


「・・先ほどの質問に答えよう。どうするのかは全て主が決める事。我がいうことはない。」

「わあ、丸投げされちゃった。」


こんにゃろう。アドバイスの一つや二つ、くれたっていーじゃんか。

少々カビ臭い薄暗い図書室で私たちは向き合っている。私は行儀悪く机の上であぐらをかいて座っている。対してアメは其処にいることに違和感ありまくりなくらい凛とした涼やかな雰囲気を纏い私の前に佇んでいる。


にしても、彼と会って主従関係となってもう10年は経つな。・・・まったく打ち解けてくんないだよこれが。私的に。

他人から見たらそうでもないらしいんだが・・いかんせん。阿吽の呼吸ばりに仲良し組の感想だから信用ならん。


全て主の命じるままにー・・って全く自己主張というものがない。7歳児の言う事ホイホイ聞いちゃうくらいに。・・・いやあの頃の私ってば恥ずかしすぎる。アメってば何でも言う事聞いちゃうから・・あの頃の私荒れてたもんなぁ。

はっ!!?いやいや思い出すな、自分で自分を貶すなんて非生産的な。ああああ、記憶消去しとこう。うん。


ま、そんな奴なんで10年経った今でも私のいう事ホイホイ聞いきゃってくれマス。意見を言う意外は。それでも私は毎度、意見や話を聞く。で、さっきのような感じで終わる。・・・10年経ってもこんな感じ。・・・泣くぞ私。

アレか?私のコミュニケーション能力不足か?


「・・・・・・。も、いいよ。隠行おんぎょうして先帰ってて。」

「御意。」


アメの姿が一瞬で消えた。・・しまった。晩ご飯の用意も頼むんだった。呼び戻すか?・・・・・いや阿呆か、わたしは。こんな事頼もうとしてる時点で駄目なんだ。


「・・はあぁ〜〜〜〜・・・・・。」

嘆く代わりに思いっきりため息をついた。それより仕事・・だ。



(さて・・、どうしようかな。あの生徒会長様は。)

見た感じ噂どうり俺様って感じの人だったな。恨まれる理由など山程ありそうな感じの。


三日もすれば呪い殺されちゃうかも。









(・・・・・ま、どうでもいいか。)

忠告はした。信じるも信じないも自由だ。私は一度手を伸ばした。

その事実があればいいのだから。





式神 アメ:妖

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