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巨大女戦士の冒険  作者: ranranslime
エピローグ
93/95

ep2 巨きな背の、その先で

【風の大地・遥か北方】


雲より高く、風より遠く――

リアーネは、静かに歩き続けていた。


彼女の足が触れれば、岩肌は穏やかに削れ、尾根は静かに揺れた。

草も木も、もはやその脚の付け根にすら届かない。


身長は百メートルを超えていた。

だが、かつて感じた“異質さ”や“孤独”は、そこにはもうなかった。


「……まだ、歩けるわね」


リアーネは穏やかに息を吐いた。


この大きさになって、声をかけられる人も、隣を歩く人もいない。

けれど、その孤独はもう“寂しさ”ではなかった。


「私は……あの子たちの未来に、背を向けないために歩いている」


かつて守った街。ともに過ごした仲間たち。

その誰もが、彼女の背を見て“進む”と決めてくれた。


――だから。


「私が見上げていた空を、今は私が先に踏んでいく」


彼女の瞳は、遥か彼方の地平をまっすぐに捉えていた。


小さな谷に群れる生き物たちが、足元に走り去っていく。

けれど一匹だけ、木陰からじっと見上げていた。


その姿に、リアーネはわずかに微笑む。


「怖がってもいい。でも、見てくれたこと……ちゃんと、届いてるわ」


風が吹いた。


どこまでも高く、どこまでも澄んだ、優しい風だった。


彼女は立ち止まり、風上へ顔を向ける。

耳を澄ます。


――そして、ふと。


「……聞こえた気がする」


重くはない。けれど確かに、草を踏みしめるような音。


かつて、自分の肩に乗っていた小さな旅人。

その足音のリズムと、どこか似ていた。


「カイ……元気にしてる?」


名を呼ぶ声は風に乗り、遥か遠くへと流れていった。


そしてリアーネは、また一歩を踏み出す。


かつての空よりも高く、まだ誰も見たことのない場所へ。


その背中は――今も誰かに見られていると、そう信じて。


いま、巨きな背は進む。

見上げる者がいようといまいと、ただ静かに、そして誇り高く。


未来は、その歩みの先に広がっている。

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