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巨大女戦士の冒険  作者: ranranslime
最終章 終極の根
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74 祝祭の灯、そして語らい

【街・昼】


戦いの終結から、三日。


街には旗が揺れ、笛と太鼓が鳴り、屋台の匂いが風に漂っていた。

人々の顔には疲労の跡と、確かな笑顔が戻っていた。


ギルドの前には即席の演説台が設けられ、騎士団とギルド長が勝利を告げる。


「我らが街は、数千に及ぶ魔物の軍勢を退けた……!」


「犠牲はあった。だが、生き残った者たちの勇気は、それを越えて余りある!」


拍手と歓声が沸き、鐘の音が重なる。


【ギルド内】


レナが書類をめくりながら、ふと目を上げた。


「……やっぱり、来てないのね」


ミレナがグラスを揺らして笑う。


「お祝い向きの性格じゃないしね。あの子たち、もう出てるわよ」


ドーガが腕を組んでうなずく。


「街の光より、草原の風のほうが似合ってらあな」


「……それに、リアーネ。まだ成長が止まってない」


「そうね。もう、“見上げる”って言葉すら、届かなくなりそう」


一同が笑う。

だが、その笑いの裏に、わずかな寂しさと――敬意が滲んでいた。


【草原】


風が広くてやわらかい草原を撫でる中、

リアーネは仰向けに寝転がっていた。


金色の髪が広がり、長く伸びた脚が遥か遠くの草を倒していた。


「……おはよう、カイ」


彼女は柔らかな声で微笑み、カイは彼女の頬に登る。


「来てくれたのね」


「うん。街はすごい騒ぎだったよ。みんな感謝してた。あんたのこと、“守護の巨影”って呼んでた」


リアーネは照れたように目を伏せた。


「……でも、もう私は“守る必要のある存在”じゃなくなってきたのかも」


「え?」


リアーネは、空を見たまま言葉を継いだ。


「脅威は消えたわ。街も、ギルドも、自分たちで歩ける。私がいなくても……もう、大丈夫だと思う」


「でも……あんたがいたから、ここまで来られたんだ」


「それは過去の話よ、カイ。……これからは、あなたたちが主役」


カイは静かに頷いた。


「それでも俺は、隣にいたいよ。でっかくなっても、誰より遠くに立ってても、ずっと見ていたい」


リアーネの瞳が細められる。


「……ありがとう。じゃあ、もう少しだけ、ここにいようかしら」


草の音が静かに揺れた。


その中で、リアーネの体が――ほんの少し、ゆっくりと軋むように変化を始めていた。


金色の髪が少し長く伸び、肩が、腕が、さらにひと回り大きくなっていく。


その成長の中で、リアーネはひとり静かに、空を見上げていた。


「……もうすぐ、私は“見えないところ”に行くのかもしれない」


それは悲しみではなかった。


ただ――終わりと始まりの、静かな気配だった。

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