表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
巨大女戦士の冒険  作者: ranranslime
最終章 終極の根
79/95

64 闇の地脈へ

「行こう」

カイの言葉を合図に、突入部隊が神殿裏の裂け目へと進み出した。


その裂け目は人ひとり通るのがやっとの狭さだったが、身を屈めて抜けた先には、意外にも広大な地下空間が口を開けていた。


「……広い……でも、何かおかしい」

ミレナが息を潜めて呟く。地下に流れる魔力の密度が異常だった。空気は湿って重く、肌にまとわりつくような圧迫感がある。


足元の石畳は自然にできた岩ではない。精緻に削られ、規則的に配置されたそれは、かつてこの場所が何者かの手によって造られた“施設”であることを物語っていた。


「照明、配置」

「後衛、結界張って」

ドーガの低く通る声が指示を飛ばし、各班が迅速に動き出す。


「こんな空間が、地下に隠されていたなんて……」

Bランクの若い戦士が、震える声でつぶやいた。


「息が詰まりそう……これ、魔力のせい?」

魔術師風のCランク女性が、結界の外に目をやりながら言った。


「気を抜くな。こんなところで死にたくなけりゃな」

Aランクの厳つい斧使いが唸ると、空気に緊張が走った。


その時だった。


「気配……いるぞ」

リュカの声が低く響く。


次の瞬間、暗闇の奥から複数の影が飛び出してきた。


「迎撃!」


襲いかかってきたのはゴブリンだった。

ただの雑兵ではない。装甲を纏い、魔法の気配を帯びた個体も混ざっている。どれもこれも、地上で戦ってきたゴブリンとはまるで質が違った。


「こいつら……前に出てきた奴らより、格段に強い!」

ゾルドが盾で斬撃を受け止め、必死に叫ぶ。


「多分……異常繁殖の“核”に近づいてる。だから、この空間そのものが“圧”をかけてくる!」

ミレナが魔法陣を展開しながら説明する。


「退かない! ここで押し返すんだ!」

カイの声が響く。その姿は以前の“後ろにいた少年”ではない。仲間を鼓舞する、ひとりの戦士だった。


「前衛班、踏ん張れ!」「後衛班、補助魔法を続けて!」

「ヒールいくよ、フェイ!」「援護頼む、魔法詠唱が間に合わない!」


仲間たちの連携が試される乱戦。

Dランクの男が、横からカイに声を飛ばす。「カイ! 後ろは任せた、こっちはこいつらで押しとどめる!」


「了解!」


「速い、こいつ……! 動きが全然違う!」

Aランク弓兵が矢を連射しながら舌打ちする。


「狙いは腰! 焦るな!」

リュカが冷静に射線を指示する。


「盾、抜かれた!? 誰か、フォローに入って!」


「来たわね……リカバー、詠唱入るわ!」

Cランクの癒し手がすかさず魔法を発動する。


「この狭さ、やだわ……動きが鈍る……!」


「大丈夫、私たちには地上にリアーネさんがいる」

誰かのその言葉に、一瞬だけ空気が和らいだ。


「でも、それに甘えたら終わりだよ。生きて帰るには、ここで頑張るしかない」

フェイが小さく、しかし確かな決意を込めて言った。


「そうだな。生きて帰るんだ、みんなで」

カイが応じる。



同時刻、地上では。


ズシィィィン!  ズシィィィン!


リアーネは神殿の外周を歩いていた。


「……気配が増してる」


指先で触れた石壁の模様。その全てが――魔力の流れに沿って“中心”へと導かれていた。


「これは召喚陣……いや、“吸引式構造”」


彼女はすぐに確信する。


「中で戦闘が始まってる……反応が、地下から上がってきてるわ」


足元に手を当て、大地の震えを読み取る。


「――地下が、呼応してる」


リアーネは即座に通信機を開いた。


『こちら地上。神殿全体が魔力集中型構造。おそらく召喚拠点。地脈とリンクしている可能性あり』


『地下の戦闘と連動して、地表に反応が出ている。注意して。……私も、準備しておく』


通信を終えると、リアーネは神殿の裏手にある岩丘の上に、そっと腰を下ろした。


ドオォン!


その高さからなら、神殿と、谷全体の地形もすべてを見渡せる。


リアーネの金の髪が、陽光にきらめく。


「さて、そろそろ神殿の内部を探索はじめるか」


その眼差しは、神殿の真上から、まっすぐ“地下のその先”を見据えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ