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巨大女戦士の冒険  作者: ranranslime
2章 迫る大軍、迎え撃つ
56/95

47 三将の協攻、ただの蹂躙 (挿絵あり)

 戦いが始まってから、すでに半日以上が過ぎていた。


 砦と街、それぞれの守備隊が必死に耐える中、リアーネは荒野を縦横無尽に駆け回り、1万人将たちを次々に討ち取っていた。

 二人、三人……正確な数など、もはや彼女自身も把握していない。


 ただ一つだけ確かなのは――

 この巨大な女戦士の歩みを止められる者が、誰ひとり存在しないという事実だった。


■ 同時に挑んだ三人


 そして今、かねてから噂されていた三人の1万人将が連携し、リアーネ討伐に乗り出していた。


 ホブゴブリンジェネラル、エリートトロール、ゴブリンリーダー(特別進化型)。

 種族も出自も異なる三体が、それぞれ数千の兵を率いて重厚な布陣を敷いている。


 指揮系統が乱れて苦戦していた中、ついに上位層が本気で結束したのだ。

 砦の兵も、敵兵も、誰もが息を呑んだ。

 ――これなら、さすがの怪物も止まるかもしれない。


 そんなかすかな期待が、戦場に走った。


 だが、現実は無惨だった。


 数千の兵を伴っても、リアーネのスピードと耐久力を崩すことすらできない。

 日頃なら「協攻」と呼ばれるべき連携も、彼女の前では無力だった。


 命中しても、生地がわずかに伸びるだけ。

 皮膚には、かすり傷すらつかない。


■ 短い時間での蹂躙


「包囲しろ! 投石と魔法を集中させろ!」


 ホブゴブリンジェネラルが咆哮し、何百という火矢とバリスタの矢が空を覆う。

 複数のシャーマンが呪文を唱え、リアーネの足元に地割れを起こそうとする。


 一方、エリートトロールが巨槍を構え、前線に躍り出た。

 ゴブリンリーダーは後方で命令を飛ばし、補助と指揮に徹している。


 巨人対策としては、完璧な連携のはずだった。


 だが――


 リアーネは、一歩踏み出すだけで地割れを飛び越え、

 襲い来る火矢を腕で風のように払い落とした。


 数本がジャケットや髪に当たるが、焦げるだけ。

 歩みは一切止まらない。


 そして、巨体を生かして後衛へ踏み込み、

 ゴブリンシャーマンの群れを“つま先”で押し潰した。


 絶叫と血飛沫が荒野に弾けた。


「くそっ、やはり効かないのか……!」「下がれ、下がれぇえ!」


 エリートトロールが吼え、渾身の槍突きを繰り出す。

 リアーネの太腿を貫こうとするが――結果は、ほんの僅かにハーフパンツの生地が伸びただけだった。


 逆に、リアーネは肩で体当たりするだけで、

 エリートトロールの巨体を軽々と吹き飛ばした。


 ホブゴブリンジェネラルも、怒りのままに突撃を仕掛ける。

 しかし、リアーネは無表情で、ブーツの甲を叩きつけ、彼を地面にめり込ませた。


 わずか数分。


 二体の1万人将が、地面に沈んだ。


 残るゴブリンリーダーは、後方で命令を飛ばすふりをしていたが、すでに腰が抜けかけていた。


■ ゴブリンリーダーの最期とナレーション


「ギィィ……なんだこの化け物は……!」


 ゴブリンリーダーは死に物狂いで命令を叫ぶ。


「構うな! 突撃だァァッ!! 生きて帰るつもりなら、動けェッ!!」


 しかし、兵たちは震え、命令に応じるどころではなかった。


 リアーネが横薙ぎにブーツを振るうだけで、

 50体近いゴブリンたちが血飛沫と共に宙を舞う。


 次の瞬間。


 ゴブリンリーダー自身が、リアーネのブーツに背中を踏み砕かれた。


 「ぐぎ……っ」


 短い呻き声とともに、背骨が砕け、心臓までも押し潰された。


 戦場には、血と煙、微かな呻きだけが残った。


 雑兵たちは絶望して逃げ散り、

 わずか小一時間で、数千の大軍は壊滅した。


「結局、1万人将三人が協力しても……ほんの小一時間で、壊滅した。」


 それが、この場にいた誰もが目にした現実だった。


 リアーネの身体に、矢は刺さっていない。

 魔法の痕跡もない。


 汚れているのは、敵の血と泥だけだった。


■ 時間経過と崩れる指揮網


 こうして三人の1万人将が倒れ、さらに数時間が流れた。


 既に日は傾き、夜が迫っている。


 砦や街がまだ戦っている気配は、遠くにかすかに感じる。

 だが、敵軍全体の足並みは明らかに乱れ、攻勢は鈍っていた。


「リアーネが登場してから半日以上……指揮系統は次々に斬られ、12万もの大軍は、大幅に統制を失っていた。」


 もちろん、砦と街に押し寄せる敵はまだ多い。

 被害も、決して軽くはない。


 だが、決定的な突破は、いまだ許していなかった。


■ リアーネの小さな焦り


「そろそろ……ボスが出てきてもいいはずね」


 リアーネは呟き、荒野の片隅に腰を下ろす。

 12メートルの体が、微かに埃を巻き上げる。

挿絵(By みてみん)



 体力的な疲労はない。


 けれど。


(……急がないと。砦や街が、持たないかもしれない)


 リアーネはわずかに唇を引き結び、目を細めた。


 今は呼び戻しの手段を取らない方針だが、長期戦はどちらにとっても負担だ。


「……ごめんね、もう少しだけ待って。今は私、ここで全力を出すしかない」


 誰にともなく、静かに呟く。


 夜の闇が、徐々に戦場を包み始めていた。


■ 静かなる無敵


 無数の攻撃を浴びても無傷。

 無尽蔵の敵を踏み潰し続ける巨影。


 だが、リアーネ自身はよくわかっている。


 時間だけは、かかるのだと。


──こうして、1万人将三人の連携は、ほとんど意味を成さないまま消え去った。

時間こそ必要だが、それでも砦と街が耐え抜けば、大軍を粉砕する未来は見えている。


 深まる夕闇の中、

 静かな無敵を象徴する女戦士が、再び立ち上がる。


 次の標的を探すように、静かに、そして確かに。

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