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巨大女戦士の冒険  作者: ranranslime
1章 冒険のはじまり
22/95

閑話:封じるべき穴、足りぬ力、こぼれる命

 朝早く、辺境伯領の砦からさらに外縁にある前哨基地。その一角に、いつになく重い空気が漂っていた。小さなテントが並ぶ敷地で、大きな地図を囲む人物たち――。


【登場人物】


ドーガ(男・43歳):Sランク冒険者。身長2m弱の剛腕大剣使い。豪快ながら経験に裏打ちされた冷静な判断力を持つ。


ミレナ(女・43歳):Sランク冒険者。賢者。高レベルの魔力制御と広範囲魔法の使い手。温厚だが言葉に鋭さがある。


レイナ(女・25歳):辺境伯の娘。身長2.3mのハルバード使い。騎士団を率いる若き指揮官。


騎士たち:レイナに忠誠を誓う辺境伯配下の精鋭部隊。


――――――――――――――――――――

地図には「大きな洞穴」が赤で示されていた。そこはゴブリンやホブゴブリンだけでなく、ミノタウロスやダークトロールまでもが砦を迂回して集落を襲撃するための抜け道と化していた。


「ここを使われる限り、砦の防衛だけでは追いつきません。何としても潰します」


レイナの言葉に、ドーガが腕を組んでうなる。


「ミノタウロスやダークトロールが一緒に動いてるって話、本当なら厄介だな」


「最近、村の消失が続いてる。人手が足りていないの。冒険者の登録者数も減る一方……」


ミレナの静かな言葉に、場の空気がさらに沈む。既に滅んだ村もある。それを皆、知っている。


「だからこそ、この道を潰しておく必要があるのよ」


レイナは目を細め、槍を握る手に力を込めた。


【洞穴へ向かう道中】


一行は険しい岩場を進んでいた。焦げた柵、潰れた屋根、草に隠れた焼け跡が散見される。そこには“既に滅んだ村”の影があった。


「こうして塞いでも、ほかにも穴がある……。追いつかねぇんだよ」


ドーガが呟き、ミレナが小さく頷いた。


「でも、諦めるには早い。せめて一つでも道を閉じれば、被害は減らせる」


その言葉に、レイナの目がわずかに柔らかくなる。


「ええ。その一つが、私たちの手で止まるなら……やる意味はあります」


【洞穴入口:第一波】


洞穴の前にはホブゴブリンの見張りが2体、警戒を怠っていた。


「いくわよ」


レイナの合図とともに、騎士たちが展開する。レイナは真正面から突撃、ドーガはその横を並走。


「邪魔だ」


ドーガの大剣がホブゴブリンを一閃し、ミレナの風魔法がもう一体を吹き飛ばす。静かながら迅速な殲滅。


その奥、洞窟から重い足音が響く。


【ミノタウロス出現】


現れたのは、筋骨隆々のミノタウロスが4体。うち1体は角に金属装甲を付けたリーダー格だ。


「隊列を崩さないで! 私とドーガさんが前衛、左右を囲んで!」


レイナの指示で騎士たちが動く。ミノタウロスの突撃に対し、ハルバードで迎撃。ドーガは大剣を斜めに構え、相手の棍棒を受け流しつつ反撃。


「よっこら、やるじゃねぇか」


「軽口は後にして。まだ奥がある」


ミレナが短く制す。


【ダークトロール登場と連携】


奥から鈍い呻き声。ダークトロールだ。


「再生力持ち、ね。火で封じるわ」


「引きつけるぞ。任せろ」


ドーガが突進し、ダークトロールの棍棒を受け止めて耐える。その隙にミレナが詠唱。


「……〈フレイム・バースト〉!」


火炎が洞穴奥を包み、トロールが苦鳴を上げて崩れ落ちる。だが燃え残った腕が動く。


「まだだ!」


ドーガの剣が、その再生しかけた腕ごと胴体を斬り裂いた。炭化した肉片が地面に落ちる。


【洞穴最深部と崩落作戦】


内部には粗末な祭壇や、寝床、資材の貯蔵庫があった。


「ここ、巣になってるわね……」


「放置してたら、第二の拠点になってたな」


一掃を確認し、ミレナが崩落魔法の支度を始める。ドーガが支柱を斬り、騎士たちが外へ避難。


「崩すわよ……!」


「頼んだ」


詠唱の終わりと同時に、ミレナの魔法が炸裂。洞穴内の天井が悲鳴のような音を上げて崩れ、連鎖的に奥から入口へと崩落していく。


岩の土煙が収まったとき、そこにあった抜け道は、もうなかった。


【帰還と現実】


「ふぅ……一箇所、潰したな」


ドーガが剣を肩に担ぎ、ミレナが杖をつきながら振り返る。


「でも……ほかにも、まだあるのよ」


レイナは拳を握りしめ、焦げた地面を見つめていた。


「人も、時間も、足りません。それでも、一つでも止められるなら……」


「そういう積み重ねだな。俺たちの仕事は」


そう言って、ドーガは歩き出す。空は晴れている。だが、雲はすぐにまた来るだろう。


今日救えた命はある。けれど――救えなかった命の方が、ずっと多かった。


そして、それは今もどこかで増え続けている。

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