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巨大女戦士の冒険  作者: ranranslime
1章 冒険のはじまり
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1. 目覚め (挿絵あり)

※AIで生成された文章です。苦手な人は注意してください

 小さな村の夜明けは早い。まだ薄明かりが空を染めるかどうかという時間帯なのに、鳥たちが一斉にさえずり始め、霧に煙る地面からは朝露のにおいが立ち上る。


 そんな朝の空気を破るように、カイは小走りで村外れの納屋へ向かっていた。村といっても、人口わずか十人ほどの静かな集落。家屋の数も片手で足りるほどだ。しかし、そこから少し離れた場所に“ある存在”が寝泊まりしているのだ。




 カイは軽く息を弾ませながら、納屋の扉をそっと開ける。


 内部は広さこそあるものの、生活に使われていない古い建物で、天井の梁がいくつもむき出しになっている。埃っぽい匂いが鼻をつくが、その奥に見える光景こそが、カイがここへ足を運ぶ理由だった。




 ――そこには、身長六メートルの“巨大女戦士”が仰向けに寝ている。


 名前はリアーネ。村では「とんでもなく大きい女の子」として昔から知られていたが、いよいよ十六歳を迎えた今、その身体は常人の何倍もの大きさにまで成長していた。




 納屋の床一面に、彼女の身体がすっぽりと横たわっている。


 もともと身長が高いだけでも目立つのに、今は膝を曲げて寝ているため、膝頭がそこかしこに引っかかっている。カイはその膝の高さを見上げて苦笑する。地面から膝まで軽く150センチ近い。カイの目線とほぼ同じくらいだ。




 彼女は大きな胸を上下させながら、まだ穏やかに寝息を立てている。周囲に敷いた干し草が山のように積まれ、リアーネの体の下でクッション代わりになっているようだが、体の厚み自体が約50センチあるため、普通のベッドなどでは到底支えきれない。


 その顔もまた相応に大きく、横幅およそ70センチほど。遠目には「ちょっとした樽」くらいのサイズ感だが、実際に見ると整った目鼻立ちがよりはっきりわかる。




「でか……って、のんきに寝てる場合かよ」


 カイは肩をすくめながら、彼女の近くまで歩み寄る。頭の近くまでは少し躊躇するほどスケールの差が大きいが、ここで引き返しては村を出発する計画が台無しだ。


「おーい、リアーネ姉ちゃん、起きろー」


 声をかけてもぴくりとも動かない。相当深い眠りらしい。




 そこでカイは、彼女の膝の上あたりに手を置いて、軽く揺さぶってみる。


 ――ごとり、と鈍い音がして、カイの手首にずっしりとした反動が返ってくる。まるで巨大な岩を動かそうとしているかのようだ。膝だけでもカイの全身よりも大きく、硬い筋肉が詰まっているため、微動だにしない。




「ちょっと! 起きてくれよ!」


 カイは仕方なく、勢いをつけてリアーネの脚を軽く蹴ってみた。


 すると、わずかにリアーネの眉がぴくりと動く。彼女の唇がかすかに開き、寝言のような吐息が漏れた。




「……んん……ん、くすぐったい……」


 それでもまだ完全に目覚めたわけではない様子だ。


 カイはもう一度深呼吸し、今度は少し強めに彼女の脚を蹴る。バシッという乾いた音が納屋の中に響き、細かな埃が舞い上がる。自分の足だって痛むが、これで起きてくれなければ困る。




「ぐっ……ううん……?」


 ゆるやかにリアーネの瞼が開かれていく。


 カイが見下ろす先で、大きな瞳が瞬きしながら、こちらの存在をやっと捉えたらしい。もそもそと上体を動かす彼女の動きだけで、納屋がかすかに揺れたような気さえする。



「おはよう、リアーネ。もう朝だよ。そろそろ起きて支度しないと……」


「……ん……あ、カイ……おはよう……」


 まだ意識がぼんやりしているのか、リアーネは仰向けのまま膝を曲げ直し、腕を大きく伸ばす。腕の長さも尋常ではないので、そのストレッチだけで天井の梁にごつんと肘が当たった。




「あ……」


 しかし梁のほうがたまらずギシリと音を立てる。もしリアーネが本気で振り回せば、古い納屋くらい一瞬で壊れそうだ。そんな圧倒的な破壊力を感じさせつつも、彼女は寝ぼけ眼であたりを見回す。




「や、やっと起きたか……ったく、遅いっての」


「ごめんごめん……昨日ちょっと夜更かししちゃって……」


 リアーネは半身を起こそうとするが、まだ体に力が入っていないのか、ぐだりとした姿勢のまま。カイから見れば、巨大な背中がゆっくりと折りたたまれ、仰向け→斜め上体起こしの形になるのを見守るしかない。




 そのとき、カイの頭上を、リアーネの膝と太ももが通り過ぎる。膝がちょうどカイの目線よりも高い位置を横切り、筋肉の盛り上がりや、生地に包まれた脚のラインが間近に迫ってくる感覚だ。


 思わずカイは「うわっ」と声を上げ、のけぞるように後ずさってしまう。もし彼女が勢いよく脚を伸ばしたら、簡単にカイごと壁へ押し付けられていたかもしれない。




「ふふ……そんなに怖がらないでよ」


 リアーネがようやく上体を起こすと、顔がカイの頭のはるか上に現れる。薄暗い納屋の中でも、彼女の金色がかった髪と整った横顔がよく映える。


 しかし一方で、その巨体が持つ“質量”を改めて感じさせる迫力があった。肘を床についただけで、重い音がごん、と鳴り、埃が舞う。カイの身長が170センチ程度だが、リアーネの“座っている”姿のままでさえ、視線はゆうに二メートル以上上にあるのだ。




「おはよう、カイ。あー……体がまだだるいけど、もう起きなきゃ駄目なんだね」


「そりゃそうだろ。今日、村を出るって決めたじゃないか。旅の準備、まだ全部終わってないし……」


「うん……」




 リアーネは寝ぼけ眼のまま、ふっとあくびをする。その口が大きく開くと、カイの顔ほどもある口内がちらりと見え、彼は一瞬たじろぐ。


 それほどまでに規格外な存在だが、不思議と彼女の表情は普通の少女と変わらない優しさを宿している。




「……もう少し、ちゃんと起きるね」


 そう言うと、リアーネは両手を床につけて上半身を立ち上げ、ゆっくりと脚を折り曲げ直す。カイの鼻先をかすめるように、リアーネの膝が通り過ぎるたび、その圧倒的な大きさに思わず背筋がぞくりとした。


 完全に上体が起き上がると、そのバスト部分もカイの頭の高さを優に超えており、見上げる構図がますます強調される。

挿絵(By みてみん)



「やっぱりでかいな……改めて思うけど……」


 カイが呆れ半分にぼやくと、リアーネは苦笑いしながら少し肩をすくめる。


「私だって好きでこうなったわけじゃないけどね。でも、この大きさも役に立つんだから」




 そう言い切るリアーネの声に、わずかに頼もしさが宿る。


 村では、彼女の大きさに怯える者や戸惑う者も少なくない。だが、圧倒的なスケールの身体がもたらす力は計り知れないし、行動力もまた人一倍だった。




「そりゃそうか。姉ちゃんが本気で動き回れば、普通の人間じゃ敵わないし、戦闘だって何だって……」


「そういうこと。さ、今日は一緒に村長のところへ挨拶してから出発でしょう? カイも手伝ってよ、色々と」


「わかったよ。じゃあ、せめて歩けるようになってからな」




 リアーネはぐっと100センチメートルの長さの足を踏ん張り、納屋の天井すれすれまで上半身を伸ばす。立ち上がるには頭が当たってしまうが、それでも腰の位置がカイの視界から大きく上に行き、彼はその動きだけで思わずたじろいだ。


 そろそろここを出ないと、天井や梁を壊してしまいそうな雰囲気がある。




「よし……私、外に出るね。カイは先に待っててくれる?」


「了解。気をつけてな」




 カイが納屋から出ようと身を翻すのと同時に、リアーネも、かがんだ姿勢で扉のほうに移動する。


 納屋の入口は三メートルほどの高さしかないが、リアーネの身体は倍近い。頭と背中を深く屈めながら、なんとか出入り口に身体を合わせていく。その様子は、人間からするとまるで“不可能な狭い隙間”を通るかのようだ。ぎしぎしと古い木材が軋むたび、もう一歩間違えば入口を破壊しかねない。




 外に出たとき、早朝の光がリアーネの全身を照らし、カイは改めてその姿を見上げた。


 身長六メートルの偉容。少し伸びをするだけで、空気が揺れたように感じるほどの圧倒的な質量。彼女が深呼吸すれば、村中に風が流れる……とまではいかないが、それでも周囲の空気が変化するのがわかるほどだ。




「ふぅ……」


 リアーネが気持ちよさそうに空気を吸うと、その胸の上下動がまた大きく、まるで小舟が上下するかのように見える。


 カイは少し距離を取ってから、リアーネの背丈をしみじみと見上げる。まさかこんな巨大な仲間が自分の幼馴染だなんて、改めて不思議な気持ちにさせられる。




「さて、じゃあ村長のところに行こっか」


「おう。……って、その前に軽く朝ごはんも食べたいな」


「あ、そうだね。私もお腹すいた」




 その言葉ひとつとっても、カイは内心「この身体で腹が減ったらどれだけ食べるんだろう」と少し恐ろしくなる。


 実際、リアーネが食事を足りておらず、ゴブリンの肉や村の近くに生えている草など誰も食べないものをたくさん食べている。




「その辺の話は歩きながらにしよう。もう遅いし、村長が待ちくたびれてるかも」


「だね」




 こうして、カイと巨大女戦士リアーネは、日常のようで非日常的な朝を迎え、村を旅立つ準備に向かうのだった。まだ眠たげな村の風景の中で、彼女の巨大な影が一際目立ち、ほんの些細な動きでも地面がわずかに振動する。


 しかし、その大きさを活かした冒険が、彼女とカイにどんな未来をもたらすのか――それはまだ、誰にもわからない。

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