54話 究極の命術
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「えー嫌ですよ」
「は?」
返ってきたのは、拒否の言葉であった。心底嫌そうな口調でレガルドが断ると、レッドベリルから間の抜けたような声が漏れる。
「だって、レッドベリルさん、僕たちのことを喰うつもりですよね?」
「……何を言っている?」
「ついでに《神の思い出》を僕から奪うつもりでしょう?」
「……」
図星だったのか、レッドベリルが黙り込む。
「古代神ロギアジーク様への忠誠心が強過ぎるんですよねぇ。亜神の皆さんは……」
「何を言っている……? 古代神の存在は絶対だ。我らの神のためならば、滅びさえも至上の喜びのはず。貴様……《宿星の種》の強制力が働いていないのか?」
「とにかく、高々、神殺しの武器の実験で滅ぼうとしているレッドベリルさんには着いて行けないと言うことですよ。そもそも僕はあなたの部下ではないですしね」
「くそがッ! 貴様、ただでは済まさんぞ……」
全く従う気のない神人レガルドの言葉に命令するのを諦めたのか、レッドベリルは、ダタイの方へ視線を移した。
「ダタイッ! お前はその精霊獣を連れてこっちへ来いッ!」
「ダタイ、そいつに味方するのは止めなさい。あなたが故郷に帰れることは絶対にないわ」
ダタイは何も言わない。ただただ険しい表情をしている。
恐らく葛藤しているのだろう。
ならば――レティシアがすることは決まっている。彼を亜神の呪縛から解放してやろう。
「何故なら、ここであたしが消し飛ばすからよ」
レティシアは力強くそう言い放つと、『未知なる記憶』から《命晶石》を取り出した。そして、その命力を喰らった。力が流れ込んでくるのが理解できる。凄まじいまでの命の力が。
レティシアは気を抜けば、体中から溢れてしまいそうな命力を必死で抑え込もうとしていた。それと同時に、ずっと抱いていた違和感を取り除き、この世界の仕組みに対する理解を改める。それはスキッドロアの言葉であり、悪魔や魔神の言葉でもあった。
――古代神ロギアジークが善であり光
魔帝マーテルディアが悪であり闇と言うのは間違い。
――魔帝の名を出した時の魔神の怒り。
――全能なる古代神マーテルディア。
レティシアは考えていた。今までの様々な戦いの中にも色々なヒントがあったのだ。神々の関係性や世界の理を正しく再定義、解釈した上で命術を行使しなければならない。
「ドラスティーナのヤツ……この程度の《命晶石》でも人間には過ぎた力だわ……」
意識が途切れそうになるのを、そして命力が暴走しようとするのを気力で押しとどめ、レティシアは雷光の杖を両手で握ると、命術の詠唱を開始した。
「また命術かッ! 俺は神殺しの武器を創造しろと言ったはずだぞッ!」
レッドベリルの怒声が飛ぶが、レティシアの新解釈を加えた命術ならば、流石の亜神も今度こそ消滅を免れないはずだ。『創造』への覚醒に至る方法が見えない今、レティシアにできることは全身全霊を込めた命術をこの怒れる亜神に喰らわせることくらいだ。
【古代より君臨せし、偉大なる二柱の神々よ。混沌よりこの世界を創造し、全ての命、生死、盛衰を支配する存在よ】
「ダタイッ! 速く来いッ!」
レッドベリルの悲鳴に近い声にもダタイは動かない。
焦れたレッドベリルがダタイの傍へ転移すると、右手を彼の心臓めがけて突き出した。
「させるかよッ!」
ヨシュアが間一髪でその一撃を大剣で弾き飛ばす。
【その全知全能なる力を持て、理と均衡を崩さんとする者共に裁きの鉄槌を! 叛逆せし神々の僕を無にかえす力を! 我が命力を贄としてその力を顕現せよ!】
レティシアの周囲に太陽光の如き、暖色が包み込み、雷光の杖を起点に神々しいまでの光輝な螺旋の奔流が天を衝く。そして暴れ狂う力。その天地開闢にすら匹敵する力がレティシアの心身を蝕んでいく。
――散々、皆の運命を弄んだその代償を払わせるッ! あたしはできるッ! やって見せるッ! もう誰も失わせないんだッ! 母さん、あたしに力をッ!
「立て続けに膨大な命力を行使して、制御できるはずがないッ!」
永遠にも感じられる程の刻が過ぎた頃、荒れ狂っていた力は徐々に安定し始め、終いには雷光の杖の上で人の頭程の球体となって均衡を保った。
その体からは眩い光と夕焼けの様なオーラが発せられている。
レティシアは命術の制御に成功したのだ。
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