表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
深淵の探究者(アビス・ハンター)~稀代の錬金術士は深淵を覗きこむようです~  作者: 波 七海
第二章 鎧病の謎

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/63

19話 交戦

是非読んでみてください!

 気配を断って近づいた探究者たちが、盗賊の見張りの命を刈り取る。

 既に空は闇に支配されている。それに乗じて探究者たちが静かに村内へと進入を開始した。斥候の話では村で一番大きな建物で盗賊たちが盛大な宴会を開いていると言う。そこに多くの女性たちが捕えられているらしい。


 探究者たちは各々に与えられた指示の通りに動いて行く。レティシアは別に護衛の依頼を受けた訳でもないにもかかわらず、ホレスに付いて目的の建物へと突入した。

 不意を突かれた盗賊たちは、泥酔していることもあって次々と討ち取られていく。ホレスは血走った目をキョロキョロと動かして、辺りを見回しながら進んでいく。探しているのはもちろん、妻と息子だろう。

 そんな時、ホレスに一人の盗賊が襲い掛かった。辛うじてその一撃を受け止めたホレスであったが、剣をろくに扱ったこともない彼には斬り合いを演じるなど到底無理な話であった。すかさずレティシアがフォローに入る。力の杖で思い切り盗賊の後頭部を殴り付け、昏倒させると、更に斬りかかってきた一人の剣撃を受け止める。


「何ッ!?」

「この杖はちょっとやそっとじゃ斬れないわよ。しかもそんなナマクラじゃねッ!」


 レティシアは体重をかけて圧し掛かってきた盗賊を、力を抜いて前につんのめらせると、力の杖を脳天へと振り下ろす。盗賊の男は何とか受け止めようと剣を突き出したが、力の杖にあっさりと圧し折られてしまった。驚愕の表情をする男にレティシア渾身の一撃が決まる。体を守っていたプレートをひしゃげさせ、男は盛大に吹っ飛ばされて料理の並ぶテーブルに頭から突っ込んだ。


 レティシアが横目でホレスの様子を窺うと、ファルが彼を援護しているのが見えた。頼もしいファルに少し安堵していると、屋内に大音声だいおんじょうが響き渡った。



「ハッハァッ! テメェらの隊長様は討ち取ったぜェェェェ!」



 探究者ハンターの間に動揺が走る。

 多くの視線が集まる先には、三メートルは有ろうかと言う狼男ワーウルフが左手でリーダーの頭を鷲掴みにしている。彼は既にこと切れているようだ。


 狼男は得物えもの戦斧バトルアクスを一閃すると、包囲していた探究者たちを吹っ飛ばしてしまった。その膂力に多くの探究者が怯む。


「なんでェ、人間共がッ! テメェらはクソ雑魚ナメクジ以下かァ?」


 レティシアは自分では太刀打ちできないことを理解して、ジリジリと後退していく。しかし、どうやらこの日の運勢は最悪だったようだ。狼男はレティシアを次の目標に定めると、凄まじい速度で間合いを詰める。そして上段から戦斧を振り下ろした。


 ――避けられないッ


 ガギッ!と言う音を残してお互いの得物が衝突した。


「何だとッ!?」


 杖如きに自慢の戦斧が受け止められたのが信じられなかったのだろう。狼男から驚愕に満ちた声が漏れる。レティシアは目の前の奇跡に感謝した。理術で更に力の杖の強度を高めていたお陰もあってどうにか杖が圧し折れずに済んだのだった。ひ弱な人間の女に自慢の攻撃を防がれてプライドが傷ついたのか、狼男はすぐに追撃を仕掛けてくる。


「マスターッ!」


 ファルの悲鳴のような声が響く。戦斧が唸りを上げて迫り来るが、体が言うことを聞かない。レティシアは硬直が解けないまま、ギュッと目を瞑った。しかし、いつまで経っても痛みがやってこない。それに疑問を抱いたレティシアがそっと目を開くと、そこには巨大な戦斧を受け止めるヨシュアの背中があった。


「何だテメェはッ! 一騎討ちを邪魔するたァいい度胸じゃねェかッ!」

「こう言うのを一騎討ちとは言わねぇんだよ。この獣くせぇワン公がッ!」


 ヨシュアが両手で持った大剣を一閃する。その鋭い斬撃に狼男は大きく飛び退ると、その分厚い胸板が薄く切れ鮮血が滴り落ちる。完全にかわしきることができなかったようだ。


「俺様に傷をつけるだとッ!? テメェは殺してやるッ!」

「御託はいいからかかって来いや、この犬野郎がッ!」


 あくまで挑発を止めないヨシュアに戦斧が叩きつけられるように振り下ろされる。それを紙一重でかわし、次々と攻撃を放っていく。下段から振り上げ、斜めから袈裟斬り、中段突き、そして大上段からの一撃から隙のできた脇腹への薙ぎ払い。流れるような連携攻撃だ。


 手数の多さで圧倒され、押されまくる狼男の表情が怒りに歪む。


「人間如きにッ! この俺がッ! 押されるだとォォォォ!」

「ベラベラとうるせぇんだよッ! そのくせぇ息止めろや!」


 ますます、逆上して怒り狂う狼男は、ヨシュアに翻弄されていた。攻撃が雑になってできた隙を突いてヨシュアは確実に敵を追いつめていく。


 その頃、建物内の盗賊は狼男を除いて皆、掃討されていた。

 レティシアはヨシュアの勝ちは最早、揺るがないと判断して、囚われていた女性たちの方へ向かう。怪我を負っている者には、ホルスターに挿していた回復薬を与え、他に重篤な怪我人がいないか聞いて回った。ホレスは女性の中に妻の姿を発見したようで、号泣しながら抱きしめ合っている。


「外にはまだ盗賊がいるみたい。ヴィスタインはそっちで戦ってるわ」


 いつの間にか、ミレーユが隣に来ていた。


「こっちは、あの狼男だけね。もう決着はつくと思う」


 レティシアはそうミレーユたちに伝えると、外に怪我人がいないか確認する。


「そうね。レティシアさんの回復薬があれば助か――」

「クソッタレェェェェエェェェ!」


 ミレーユの言葉を遮ったのは追い詰められていた狼男であった。その絶叫に探究者たちの視線が集まる。そこには対峙する二人の姿があった。


「もう諦めろ。どうやらお仲間は全滅しちまったみたいだぜ?」

「グゲゲゲゲゲッ! アホかテメェは! 俺の真の力を見せてやんよ。探究者ハンターは皆殺しだァァァァァァッ! グェラグェラグェラ!」


 その言葉と共に、狼男の体から何かの力が溢れ出し、空間に満ちる。

 それと同時に、傷ついていたその体が回復していく。


 それは驚愕の一言であった。

お読み頂きありがとうございます!

今後も頑張って参りますのでブックマークや評価★5をよろしくお願いします。

評価は【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして頂けると嬉しいです。

モチベーションも上がりますので是非!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ