11話 神々のお話
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本日は三回更新です(2/3)
沈黙した男性に代わって別の男性が質問を投げかける。
「すまねぇ。オレはこう言うのに疎いモンで、よく分かんねぇんだが、この世にはそんなに色んな力が存在すんのかい?」
「その通りです。この世の中には、いくつもの力が存在しております。理力、精霊力、神星力、魔力などがそうですね。そしてその力が顕現するのはその神々が実在しているからです」
質問した男は、ごく普通の一般人であった。探究者や術士などとは関わり合いにならない生活をしている者も多いのである。
「理力については神と言うのとは違いますが、世界の理、簡単に言えば世界そのものの力のことを言います。その力を使ったのが理術ですね。それを極めようとする人々のことを理術士と言います。理術に関しては、一般にも広く普及しているので知っている方も多いのではありませんか?」
理術は一般にも大きく知られている術だ。簡単に火を起こせたり、水を得たりすることができるので大抵の人が覚えようとするし、使えもする。ただ、極めていけば人や魔物を傷つけることもできるし、逆に傷を癒すこともできる。
「精霊力は、その名の通り精霊神の力ですね。それを借りて行使するのが精霊術、神星力は古代神の力でその術が神星術、魔力は魔帝の力でその術が魔術と言われています」
レティシアが使えるのは、理術と精霊術、魔術、そして命術だ。
スキッドロアは神の存在を当然のこととして話を進めているが、それは事実である。この世界には神が実体を持って存在しているのだ。レティシアが物心ついた頃には、神の存在など信じられなかったものだ。幼い頃にお伽噺で聞いた古代神などいるはずがないとずっと思って来た。しかし、ある国で見た亜神なる者から感じた、底知れぬ力。あの衝撃をレティシアは、生涯忘れないだろう。
ただ古代神や魔帝に関して言えば、その存在は懐疑的である。レティシアは、目にしたものしか信じない性質なのだ。
「しかし、神話によれば、その力の根源たる神は古代神と魔帝だけのはずでは? 他に神がいるなど聞いたこともない」
レティシアも質問した男性と同様にその二柱の神の名前しか知らない。厳密に言えば、下位神と言う存在があることだろうか。古代神の下に亜神、神人などが、魔帝の下に魔神と悪魔、魔人などが存在し、お互いに敵対している。
「我々は、長年の神話研究から、現在、世界に広まっている神話は事実ではないと考えております!」
スキッドロアの言葉に、どよめきが大きくなる。
「つまり、古代神が善で、魔帝が悪と言う図式は全くの出鱈目なのです!」
彼は、古代神を崇めるザイオン聖教国の教皇が聞いたら、ブチキレそうなセリフを吐くと、どよめきが鯨波のように押し寄せ、彼に向けて次々と罵倒の言葉が投げかけられる。罵っている者は、おそらく古代神の信者なのだろう。
「現在のこの世界は勝者によって歪められたものなのです! 古代神は、卑怯にも世界の理にまで干渉し、自身に都合の良いような改竄を行っ……」
その時、群衆の中から石が飛んできてスキッドロアに直撃した。彼は石が命中した額に手を当てると、血の付着した手をジッと見た。そして何事もなかったかのように回れ右をする。
スキッドロアの部下たちが、押し寄せる群衆から自らの司教を必死に護ろうとしている中、彼は平然とした顔で壇上から降りると、こともなげに言い放った。
「今日はここまでだね。撤収だ」
レティシアは、巻き込まれるのは御免なのでさっさと帰ろうと、群衆をかき分けて人だかりから抜け出した。いつの間にか後から説法を聞きに来た人たちに囲まれていたようだ。
その時、レティシアに向けて声が掛けられる。その声色には興味の色が混じっていた。
「おや? これは面白い力を持ったお譲さんだ」
「あたしですか?」
「そう。君のことだ。どうだい? 我が教団で神従の儀を受けてみないか?」
「お断りします」
スキッドロアの誘いを間髪入れずに断るレティシア。ちなみに神従の儀と言うのは、神の僕となる契約のようなものだ。僕の数と彼らの信仰心の強さで神々の神格や強さが決まると言っても過言ではない。なので、神とその僕たちは非常に布教に熱心である。中には人間を強引に僕にして力を得ている神も存在するらしい。
まるで気にする素振りすら見せずに立ち去ろうとするレティシアに、スキッドロアは「そうか。残念だ」とつぶやいた。しかし、その声には全く感情がこもっていなかった。
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