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はぐれ三人  作者: agdpm0w
第八話 指輪探し
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10

「さっきのこと、黙っててほしいんですね」

「……」

「いいですよ、誰にも言いません」

「…本当に?」

言葉少なに、懐疑とわずかながら怯えのこもった眼差しが返ってくる。

「ええ。言いふらしても私になんの得もないですし。」

「いくらで」

「いりませんよ」

「………」

「信用できませんか。無理もない」


ハイネは傍らのスペアを、頭巾の下の目で制した。

スペアが、隠れて見ている者の存在に気づいて、身構えていたからだ。

(木の影に一人…気配を消そうとしている。それなりに腕の立つものだろう)

赤ん坊もスペアと目を合わせる。その顔に嫌悪の色はない。

(今のところ、彼らに敵意や悪意はなさそうだ。だが見張りがついているなんて、グゼさんは一体…)


その横で交渉が進んでいる。

「じゃあこういうのはどうでしょう。わたしにも、知られたくない秘密があります。それをお教えします。わたしたちも黙ってますから、あなた方も絶対誰にも言わないでください。それでお互い様ということで」

「秘密?」

花売りの肩から少し力が抜ける。応じてもらえそうな空気を感じ取ったハイネは続けた。

「はい。ああ、まず自己紹介を…わたしはハイネ、彼女はスペアです」

「その子は?ハイネさんの子供?」

「……」

話を聞いていた赤ん坊は、ただ静かにしていた。

「……この子は私の子供ではありません。名前はないです」

「ない? 生まれてしばらく経っているだろうに」

「いいえ。話すと長いですけど、この子は名前を付けてはいけないことになっていまして」


そのとき、場の空気が変わるのが分かった。

グゼが息を止めている。顔は、月光の下だというだけではなく、性別を当てられたときよりもはるかに青白い。それは決定的な何かがあったことを意味していた。


沈黙ののち、グゼは木の方に一瞬視線を送った。そしてぽつりと言った。

「なら…話は後にしてほしい。それまで今のことは、誰にも言わないでおくれ。またすぐに会うことになるのだから」

そして、踵を返して去っていった。


入れ替わるように、木の影から大柄な男が姿を表した。よく見るとそれは昼間、花売りの荷台の横にいたうちの一人であった。


「旅のお方、お話を伺いました。ご同行願います」


視界の端で、すでに終わったらしい宴会から、参加者たちが一人二人と帰っていくのが見えた。

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