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はぐれ三人  作者: agdpm0w
第八話 指輪探し
58/61

9

予定通り、式は夕刻から始まった。

教会の中で、祭壇の前に立つ新郎新婦、その後ろに大勢の参加者たち。急遽参列した三人は最後尾に控えていた。

あの白金の指輪は皆の見守るなか、新郎の手で新婦の指に嵌められた。


堅苦しい式は早々と終わり、参加者同士の宴会が始まった。

色とりどりの料理が並んだ白い台。すでに辺りは暗い。桃色や橙色の灯篭が、幸せそうに微笑む若い二人と、それを取り囲んで騒ぐ人を照らす。誰もかれも酒をたくさん飲んで、陽気になっている。


「お嬢ちゃん、こっちのお肉をお食べ!」

「ありがとうございます」

「この果物はどうだい、うちでとれたんだよ」

「ありがとうございます」

「酒はやめときな、苺水があるよ!」

「分かりました。みなさんありがとうございます」

「子供なんだし遠慮せずにいっぱい食べな」

「おいしいかい?」

「はい、とても」

スペアは次々と料理を進められるがまま、受け取って食べる。やがて人の波がおさまると、皿を置いて、姿の見えない友人たちを探しに教会の裏にある庭をのぞいた。

「ここにいたか」

スペアは、隅にある柳の木の下に歩み寄った。

ハイネが、食事を終えて遊んでいる子供たちを遠目に眺めているらしく、その可愛らしさに目尻を溶かしている。赤ん坊はそれが若干面白くない様子で腕の中に納まっていた。

「あれ、スペア。来たんだ、食事はもういいの?」

「十分いただいた。当分は太陽光発電をしなくてすみそうだ」


「ところで、いい式だったね。最初のあれはよくわかんなかったけど」

「ああ、あの動きだな」

式の初めに、全員が帽子を取り、右手を心臓の近くに当て、斜め上を向いてしばらく沈黙する、という時間があったのだ。

「あれは新郎にさっき聞いたが、殉職者に対する敬礼らしい」


『新郎新婦の身内に殉職者がいた場合は、式の最初に敬礼をとることになっているんだ。俺の父親は警備兵だったから…この教会の地下墓地に眠っているんだよ』


「だそうだ」

「なんだ、そうだっのか。真似しとけばよかった」

「…それで納得がいった」

スペアがつぶやく。

「なにが?」

「@*?」

「いや、指輪探しの途中で、教会の西の地面に取っ手のようなものを見た。あれは扉だ、地下墓地への入り口であったのだと」

「なるほど」

「ハイネこそ、いいのか。ハイネと話したがっている人もそれなりにいるようだが」

「いやーみんな優しいけど、これ以上中にいるとばれちゃうしね…飲み食いもできないし。どうしようかと思ってたら、この子がぐずってくれたから、あやす体で出てきたわけ。いや、あんたは世界一空気の読める赤ん坊だよ」

むずかる演技をすっかりやめた赤ん坊は、ハイネの腕の中で両の親指を立てた。

「それに、周りに他人のいないところで、わたしと話したい人もいるんじゃないかな」

「?」

「ほら…」


三人が顔を向けると、建物の陰から、その人物は姿を表した。

赤いスカート。長い手足。鹿のように美しい花売り。

「グゼさん」

名前を呼ばれたその顔は、こわばっていた。

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