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「この国はね、はるか昔大きな戦争があった場所なんだ。激しい戦いは長い間続いて、何千何万の人が亡くなった。そのとき、地の精霊の嘆きが苦しみながら命を落としたたくさんの魂を集め、この土地には強い怨念が染み付いたんだ」
ハイネと赤ん坊は顔を見合わせた。
(悪い気を感じる土地だと思ったらそういうことだったのか…)
(@+*♭︎)
「この怨念は呪いとなり、毒となる。ここにいると呪われて体を蝕まれてしまうんだよ」
「大変じゃないですか」
「でも大丈夫! 我が国の女王様は、浄化の力をお持ちだ。国民のため、祈りで災いを払ってくださっている。あの塔でね」
細い指の指す遠くに、飴色の塔が小さく見えていた。
「へえ、なるほど。ここで人が住めるのは、女王様のおかげなんですね」
「そんな女王様が祈りの力を込めて作ってくださったのが、この花なんだよ。持っていれば数日の間、浄化の加護を受けられる。守りの力を万全にしてくれるんだ。私の役目は塔から花を運んできて、売ることさ!」
グゼは笑顔で、赤いバラを差し出した。値札がチラリと見える。
(安っ。子供のお小遣いでも50本くらい買えそう。誰でも買えるようにしてんだな)
黙っているのを勘違いしたのか、グセは顔を近づけてくるとささやいた。
「お金なかったら物々交換でもいいよ?それもなかったら…」
「ああ、いやいや」
ハイネは体を引いた。顔を見られるのも、霊だとばれるのもまずい。
「払えますよ。でも今財布を持ってるのがわたしじゃなくて…」




