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「いや、本当に悪かった。ハイネが止めてくれなければ、どうなっていたか…」
「どういたしまして、間に合ってよかったよ。念動力使えてよかったー」
ハイネの魔法でからくも激突を免れたカプセルは、崖の下でスペアの点検を受けていた。
「どう?」
「前輪が壊れてしまっている…これでは走れない。修理しなくては」
大破した右の前輪の破片、ねじなどが、辺りの丈の短い草むらに散らばっている。
スペアは両方の手首をパカリと外した。小さな二つの手がカサカサと蜘蛛のように地面を這い回る。
「拾える部品は拾っておこう」
「あんたそれ他の人がいるところでやらないでよ…」
「∬」
呆れ顔のハイネ。
「足りない分はこの辺りで部品を調達するしかないな」
「てことは…」
三人が視線を向けた先には、先ほどまで見下ろしていた、あの街並みがあった。
「しばらくこの街に留まることになる。…ん?」
スペアはきょとんとした。連れの二人の顔、正確には口元が、何とも言えない形に曲がっていたからだ。
「どうした?」
「いやー、なんかね…」
ハイネは困り顔だ。
「◎◆△∬‡○」
「この辺ね、やな感じがするんだよな」
それは意外な言葉だった。
「ここが?あんなに美しい町だったじゃないか」
「それは間違いないんだけどさ。悪い気が宿ってるっていうか、うっすらではあるんだけど…」
「%,<\」
「そうなのか。私は何も感じないが……大丈夫か?」
「うん、何てことないよ。壊れたままもよくないし、ここで直しちゃったほうがいいよ。あんたも平気?」
「〇」
「大丈夫そう。行こうか」
「ああ…」
スペアは動けないカプセルを抱え、体ごと折り畳むようにぐっと力を入れた。一瞬で手のひらに載るほど小さくなったそれをポケットに収める。続いて拾った部品をまとめて布の袋にざらざらと入れた。
「あれ?カプセルは大きさ自由に変えられるんじゃないの?」
「部品の状態では無理だ。個々の部品の素材自体は特殊なものではないからな」
口をきつく縛り、腰から下げる。彼らは町の方を歩みを進めていった。




