2 (表)
「私は公用語以外は話せない」
「わたしは…他の言葉も多少勉強したことあるけど、ここの言葉は全然知らないわ」
すると、がらりと扉が開いた。三人は慌てて身を縮める。
中から出てきた身なりのいい男は一行には気づかなかった。扉を閉め直すでもなく、道をとぼとぼと歩いて去っていった。
スペアは開いたままの扉をそっと覗いた。
店の中央にある台の向こうに、白い服の男がいた。彼はやにわに棚にあった瓶をつかみ、中身を一息にあおった。
「!」
よろけて、膝をつく。スペアは思わず店に踏み込んでいた。
男が上げた顔は真っ赤だった。すぐに駆け寄り、仰向けに倒れかかった男の背を支え、覗き込む。
「××××…××。×××××××××」
スペアは男の様子を観察しつつ、手にある瓶に目をやった。アルコールの香りが鼻を刺す。
(酒瓶か…)
まだ店の外にいるハイネと赤ん坊も、暖簾の隙間から中を見ていた。
(酔ってるだけみたいね)
(≒〇&)
「…×××××、×××××××××××。××××××××××、×××××…××××××…」
酔っ払いはべらべらと話し始めた。しかしその言葉はやはり、スペアにとってもハイネにとっても、全く意味が分からないものだった。




