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はぐれ三人  作者: agdpm0w
第五話 母子
32/61

9

「複雑?」

「吸血鬼は基本的に、恐れられ忌避される存在といっていい。……便利なわりに魔法が普及しない、って話してたよね」

「何か関係が?……もしかして」

「そう、『魔法を使う者』も吸血鬼化の条件のひとつ。強力な魔術師は正しく埋葬しても吸血鬼化することもあるとか……大抵の人はそれを嫌がって、気軽に魔法を学びたがらない」

「そうだったのか。だが…不死のために自ら吸血鬼になろうとしたものもいたと…」

「そう。画家が吸血鬼の絵を描くっていう話もしたでしょ。…恐るべき人喰いの魔物とはいわれるけど、その一方で数も多くないし、活動に制限もかかるし、見かけることすらなく一生を終える人の方が多い。だから危険性に実感がなくて、むしろ不死や吸血という神秘性を備えた吸血鬼に、憧れや崇拝を持つ人もいるんだ。少なくなったけどね」

「……」

「学者って人はどんな立場の人かな…」

日はまだ高かったが、厚い雲が空を覆い始めていた。風が強くなり、草木が家の外でざわざわと音を立てた。


スペアはふとあることに気づいた。

「ハイネはあらゆる魔法を操る魔法使いだった、と言っていたな」

「覚えててくれてた?というか信じてくれてたのか」

「吸血鬼にはならなかったのか」


「……」

幽霊は沈黙した。

「……その心配は、なかったよ。多分それは、わたしが…」

だが、それ以上の言葉が続かない。


「やはり、まだ話す気にはなれないか。悪かった」

「……ごめんな。込み入った事情があるとか、そんなんじゃないんだ。ただ、自分が死んだときのことを思い出すと、怖いというか、なんともいえずぞっとして…いつかは話すよ、わたしの昔のことを」

「無理はしなくていい。私はただハイネについて知りたかっただけだ。それは過去を知らなくても、一緒に旅をすることでも叶えられている」

「うん……」

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