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はぐれ三人  作者: agdpm0w
第五話 母子
25/61

2

時は遡ること一月前、スペア、ハイネ、赤ん坊の三人は、草木の生い茂る山奥にいた。


「こうも植物が多いとカプセルが使えないな。歩きづらい」

頬や手、眼鏡のレンズを次々とかすめる木の葉に、スペアが渋い顔をした。

「身体があるが故の悩みだねえ」

しみじみ言うハイネの胴体に、木の枝が突き刺さっている。もとい、貫通している。霊体の身体は万物を突き抜け、風が吹こうが、黒いローブの裾は少しもたなびかない。

「♪☆」

赤ん坊はどこか上機嫌で、にこにこ辺りを見回している。


「さっき向こうに崖崩れのあともあった。気をつけなければ」

「∮〒」

「あんたは崖から落ちても大丈夫じゃない?」

「腕や足が外れてどこかに行ったら困る」

「確かに。じゃちょっと歩きやすくしてあげようか」

と、ハイネが言うなり、近くの茂みがざっと左右に分かれた。根元から下草が倒されている。


「はい、道。どう?」

「・・・いや、素晴らしい。助かる。かつて海を割ったという言い伝えの預言者のようだ」

「へへっ、大げさ~。照れるね。ものを動かすだけならそんなに高度な魔法じゃないんだけどさ」

即席の道にスペアは足を踏み入れた。


「魔法というのは本当に便利なものだな」

がさがさと音を立てながら、一行は進んでいく。

「科学技術の結晶のあんたがそれを言うかね」

「そうだが…しかし、疑問でならない」

「なにが?」

「なぜ魔法はもっと普及しない?使っている人をほとんど見たことがない」

「使えるようになるには訓練が必要よ?」

「これほど便利なら、訓練してでも使えるようになりたい者がたくさんいると思うが」

「…ああ…うーん」


ハイネの剥き出しの瞳が僅かに翳った。


「それはね…」


そのとき、ガサガサガサという音が近づいて、直後、脇の茂みから人が飛び出してきた。

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