僕達はまだ知らない悪意
良く晴れた休日に僕は目覚めた。
僕は今日も最高の一日になると思っていた。
起き上がろうとすると何かに抱きつかれている感触に気がついた。
それはお母さんの腕であった。
「ちょっとお母さん。起きてよ」
そう言いながらお母さんを揺さぶり起こす。
「ふぇ」
と寝ぼけた返事をする。
「お母さん起きてよ」
お母さんは大きな伸びをして、起き上がり、窓から差し込む太陽の光に目を細める。
「はぁ、よく寝た。それでは朝ご飯でも作るとしましょうか」
ハァ~とため息をついて「僕も手伝うよ」
僕はお母さんがあまり無理しないように僕は朝ご飯の準備を手伝うことにした。
早速僕とお母さんは起きて台所に行って、朝ご飯の準備に取りかかった。
今日の朝のメニューはオムライスだった。
「お母さん朝からオムライスなんて出来るの?」
「出来るわよ。冷凍していたご飯を使ってね」
そう言ってお母さんは冷凍庫からサランラップで丸めたご飯を取り出す。
「じゃあ、純君、これらの物を電子レンジで温めて、そうしたら、オムライスは簡単な料理だからすぐに作れるから安心して、だから純君はいつもの野菜を切ってね」
「うん。分かった」
いつものやりとりだ。
今日は休日だから小百合さんと小説と勉強をしてどこかに出かけようと考えていた。
お母さんも翻訳家の仕事が落ち着いてきて、お母さんも僕達と一緒に出かけないか誘って見ることにしようとしたが、僕は止めておいた。
せっかく二人きりになれるのだから、二人きりでデートしたいと思っている。
僕と小百合さんは恋人同士でもう一線を越えてしまった仲だ。
そしてオムライスはすぐに出来上がり、僕とお母さんは早速いただくのであった。
お母さんのオムライスを一口入れると凄くおいしかった。
さすがはお母さんだな。翻訳家の仕事を辞めていっそ定食屋さんでもやったら良いと思っていた。
朝食も終わって僕は早速鞄に参考書と小説を書き留めたノートを入れて小百合さんの家まで自転車で向かうのであった。
僕と小百合さんは同じ住宅地に住んでいるので、自転車で三分と言ったところか、小百合さんの家に到着した。
小百合さんの家は三階にあり、僕が自転車のベルを鳴らすと、小百合さんは窓から顔を出してきた。
「純君おはよう」
「うん、小百合さんもおはよう」
「ちょっと待っていてねすぐ支度するから」
小百合さんはちょっとと言っているがかなり時間がかかるんだよな、だから僕はその間に小説を読んでいるのだった。
小説を読んでいると時間なんてすぐに過ぎてしまい、小百合さんは準備にどれだけ時間がかかったのか?時計を見てみると十分もかかっていることに気がついた。
「お待たせ」
そう言って小百合さんは白いワンピースを着てとても清楚なお嬢様って感じがした。
「純君。このワンピースどうかな?」
「似合っていると思うよ」
何かそんな小百合さんの白いワンピースを見て、僕の胸がときめき鼓動が激しくなった。
「純君赤くなっているよ。そんなにこのワンピース似合っているのかしら」
「何度も言わせないでよ。本当に似合っているから」
「そう。じゃあ、今日は麻美ちゃんがいる図書館にでも行きますか?」
「そうだね。今日も英明に行きたいけれど、たまには麻美ちゃんと勉強するのも良いかもしれないね」
そう言って僕は小百合さんを後ろに乗せて自転車を発進させたのだ。
そして図書館に辿り着き、中に入ると、麻美ちゃんはまだ来ていなかった。
「麻美ちゃん来ていないね」
「私達が早かったのかな。とにかく勉強と小説を進めて起きましょうよ」
「そうだね」
そんな時だった。誰かに見られている気配を感じた。
「どうしたの純君!?」
キョロキョロとしている僕に小百合さんは言う。
「いや気のせいかな?」
「何が気のせいなの?」
「何か誰かに見られている感じがして」
「そんなの気のせいに決まっているじゃない。それとも麻美ちゃんが来たんじゃない?」
「そう言うと丁度そんな時、麻美ちゃんはやってきたのだ」
「おはよう麻美ちゃん」
小百合さんが言って僕も「おはよう麻美ちゃん」と挨拶を交わしたのだった。
「おはよう二人とも元気そうね」
「うん、僕達はいつものように元気だよ」
僕はガッツポーズをして言った。
「本当にあなた達が羨ましいよ!私にも運命の人が現れないかしら?」
「何を言っているの麻美ちゃん。麻美ちゃんはかわいいんだから、すぐにいい人が出来るよ」
小百合さんが言うと麻美ちゃんは、
「気休めはよしてよ。こんな眼鏡ブス」
「眼鏡ブスだなんてそんな、麻美ちゃんのその眼鏡姿かわいいよ」
小百合さんは言う。
「さあ、とにかく今日も勉強と小説を頑張るんでしょ。私はあなた達には負けないから」
そう言って麻美ちゃんはメラメラと熱を燃やし尽くしている。
そうだ。その感じだ。それで僕達はその熱にあやかって勉強や小説に熱が入るのだから。
そう僕達はそうやって勉強や小説に熱が入るのだった。
「ん?」
「どうしたの純君?」
「何か僕達は誰かに見られているような気がするんだけれども、気のせいかな?」
「私はそんな気はしないけれど、とにかく勉強と小説続けてやっちゃいましょう」
「そうだね。小百合さんの言うとおりだ」
★
時は時々刻々と過ぎていき、時計はお昼を回った。
勉強や小説に没頭しているとすぐに時が過ぎてしまう感覚になってしまう。
そんな僕達に取って一日が二十四時間なんて短いような気がした。
「ハーお腹すいたな!」
そこで麻美ちゃんが、
「もし良かったら、家の教会でご飯食べていく?」
「良いの?」
僕が言うと小百合さんが、
「今日はいいよ。私は純君の分のお弁当を用意したから」
「あなた達は良いよね。私にもお弁当を作る殿方が現れないかしら?」
そう言いながら麻美ちゃんは教会へと帰っていった。
それよりも何なのだろう?あの気配は?
もう感じなくなったが、小百合さんの言うとおり、気のせいだろう。
それよりも僕は小百合さんが僕のためにお弁当を作ってくれることに感激してしまった。
「小百合さん。僕の為にお弁当を作ってくれたんでしょ」
「ええ、作ったわよ。純君のお口に合うかどうか分からないけれど」
「楽しみだな!」
僕と小百合さんは図書館のイートインコーナーで小百合さんが作ってくれたご飯を食べることになった。
「はい純君」
「ありがとう小百合さん」
小百合さんは僕にお弁当箱を用意してくれた。
中身を見てみると、僕の大好きな唐揚げだった。
「凄いおいしそう。小百合さんが作ったの?」
小百合さんは視線をそらせたまま、
「そうだよ」
と言っている。
それに唐揚げだけではなく、栄養面に良い、トマトやその他にポテトサラダが用意されていた。
「いただきます」
そう言って僕は小百合さんが作ってくれた物を食べようとする。
食べて見ると味は絶品だった。
「小百合さん。おいしいよこの唐揚げ」
「本当に!?」
本当に小百合さんの唐揚げは最高の物だった。
小百合さんも僕においしいと言われて喜んでいるような感じだった。
まさに小百合さんのサラダ記念日なのかもしれない。
いや僕ごときにそんなの考えすぎかあ。
お弁当も空になり、本当にお腹いっぱいで、小百合さんと僕とお母さんだけのとっておきの場所まで行くことを思いついた。
「エッ!?純君、午後も勉強や小説を頑張らなくて良いの?」
「たまには良いじゃん。それに今日は日曜日だし、小百合さんに僕のとっておきの場所を見せてあげるよ」
そう言って僕は、小百合さんを後ろに乗せて僕のとっておきの場所まで行くことにした。




