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子供になったお母さん  作者: 柴田盟
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小説を書いた僕と小百合さん

 気がつけば僕は机の上に突っ伏したまま眠っていた。


 何で僕はこんな所で眠っているのか・・・そうだ。僕は小説を書いていたんだ。


 あれ?僕が書いた小説の原稿用紙が見つからない。


 すると横でエプロンをしながら、お母さんが僕の書いた小説を読んでいた。


「何をやっているのお母さん!」


 お母さんから僕が書いた小説を奪い取ろうとすると、お母さんは少林寺の何かの技をかけられて受け流されてしまった。そして牽制されて動けない状態にされ、僕の背中に乗って僕が描いた小説を見ている。


「ふーん。純君小説を書き始めたんだ」


「そうだよ。だから、僕の小説を読むのは止めにしてよ」


「どうして?」


「恥ずかしいから」


「読まれて恥ずかしい思いをするなら書かなければ良いのに」


「何でお母さんはそんな事を言うの?」


「だって私は純君のお母さんだよ。私も色々な物語を見てきたわ。もちろん仕事でだけれども、この純君の小説かなり面白いと思うんだけどな」


 僕はここで麻美ちゃんの気持ちを知る。


 麻美ちゃんに昨日小説を読ませてくれないかと言われて、最初は恥ずかしいから読まないでと言われてしまった。


 でも麻美ちゃんに僕は僕を小説の大賞選考委員だと思って見せてと言ったら見せてくれたんだっけ。


 本当に麻美ちゃんの小説は面白い物だと思ったんだっけ。それで僕も麻美ちゃんの真似をして小説を書いてみたんだっけ。それでこの様にお母さんに僕の小説を読まれる事になるなんて思いもしなかった。


 僕の小説はお母さんに見られてしまった。それに僕の小説を絶賛してくれたが、僕はお母さんに対してご立腹だった。


「何よ。小説を読まれる位でそんなに怒っているのよ。小説は書いたらいずれ誰かの人に見せなくてはいけなくなるのよ」


「何、言っているんだよ。僕の小説を断りもせずに読んだりして、それに関節をきめられて腕が少し痛いんだけど」


「それは自業自得よ、お母さんに内緒で小説なんて書いたりして、それにお母さんに見せなかった罰よ」


 何て理不尽な事を言ってくれるんだ。


「それよりも僕が書いた小説を返してよ」


「ゴメンね純君、それは無理、この小説、私の仕事に役に立つかもしれないから、使わして貰うね」


「お母さんの仕事に使うってどういう事?お母さんはあくまで翻訳家でしょ。何で僕の小説が必要になってくるの?」


 お母さんは後ろのポケットに僕の小説を折りたたんで、差し込んであった。


 それをとろうとするとお母さんに見事にかわされて、「甘いよ純君。まだまだ純君はお母さんに勝てるような年じゃないよ。お母さんに勝ちたかったら。もっともっと少林寺拳法で腕を磨く事ね」


「何でそうなるの?人の小説僕に返してよ」


「だってこの純君が書いた小説、本当に面白いんだもん。本当に十歳の男の子が描けるような物じゃないと思っているのよ」


 そう言えば僕は麻美ちゃんにもそう言ったっけ。


「じゃあ、お母さん聞くけれど、僕の小説のどこが良いと思ったの?」


「題名は死神様だっけ、その死神と契約を結んで色々な人から狙われながらも死神と一緒に旅をするところが本当に素敵だと思ったよ」


 とりあえず、この事を小百合さんには知られたくない。


 もし知られたら、何かやっかいな事になりそうで何か嫌だ。


「で、純君はどうして小説を書こうと思ったの?もしかして麻美ちゃんだっけ、その子が書いていて影響を受けたんでしょ」


 何て鋭いんだ。さすがは僕のお母さんと言ったところか?でも感心している場合じゃない。早く僕の小説を返して貰わないと、お母さんはきっと小百合さんにも僕の小説を見せるつもりでいるみたいだ。


 でも仕事に使うって言っていたけれど、仕事に使うほどの物じゃないと思っている。


 そして食事をしている最中、僕はお母さんからどのようにして僕が描いた小説を奪おうか考えたが、お母さんは食べているときでも隙がない。さすがは少林寺拳法四段の手練れと言ったところか?


 食事をしている僕とお母さん。僕の小説を奪おうとしてお母さんに飛びかかるがお母さんにまた技をかけられて動けなくされてしまった。


「まだまだ修行が足りないね、純君」


 これは少林寺の技なのか分からないがお母さんに奪われた小説を返して貰えないのかもしれない。


 そんな時である。チャイムの音がして、これはまさかと思って玄関の扉を開いて見ると、いつもの栗色をしたロングヘアーにつぶらな瞳に白いワンピースを着た小百合さんだった。


「おはよう純君」


 そこでお母さんが飛んでくるように小百合さんの前に現れた。


「ねえ、小百合ちゃん。純君が書いた小説見てみない?」


「ちょっとお母さん!やめてよ!本当に!」


「えー純君も小説書いたんだ実を言うと私も書いたんだ」


「えっ!!小百合さんも小説書いたの!?」


「うん。まだ見せられないけれど」


 そこでお母さんが入ってきて、


「じゃあ、純君の小説を読んでお互いに見せ合いっこするのはどうかな?」


「私は純君の小説を見せてくれるなら見せてあげられるかも」


「じゃあ、小百合さんの小説、僕に見せてよ。僕のも見せてあげるから」


「うん、ランドセルに入っているから、今見せてあげるよ」


 そこでお母さんが僕の小説を小百合さんに渡した。


「へーこれが純君の小説かあ、ちゃんと原稿用紙で書いてあるわね」


「じゃあ、小百合さんの小説も見せてよ」


「・・・」


 すると小百合さんは黙秘して、僕の小説を見ている。


「小百合さん聞こえている」


「ちょっと待って今良いところだから」


 そこでお母さんが、


「ほら、純君、純君の小説はお母さんが認めたのだから素晴らしい物だと言うことが小百合さんには分かるのよ。いや、この小説は本当に読み手の人を引きつける力を持っているわ」


 今まで色々な物語を翻訳して来たお母さんが言うのだ。僕は小説を書いて良かったと思えた。


「とりあえず小百合ちゃん。立って見るのも何だから、家に入って読みなさいよ」


 とお母さんは言う。


 小百合さんは僕の小説に一点張りだった。本当に僕の小説って本当に人を引きつける力があるのか?


「じゃあ、次は小百合さんの小説を読ませてよ」


 そこでお母さんが、


「あなた達そろそろ行かないと遅刻するわよ」


 やばい、時計を見るとそろそろ登校しなきゃいけない時間になってしまった。


 小百合さんは僕の小説を自分のランドセルにしまった。


「何で僕の小説をランドセルにしまうの?」


「それよりも純君、遅刻するわよ」


 時計を見るとまずいと思って僕は大至急に支度をして、ランドセルを背負って小百合さんに続いた。


 とにかく本当にやばい、このままだと遅刻する。


 委員長である小百合さんが遅刻したら、周りの同級生に示しが付かなくなってしまうだろう。


 とにかく僕と小百合さんは走る。


 そして学校に到着して、どうにか遅刻は免れた。


「じゃあ、小百合さん。小百合さんの小説を見せてよ」


 するとそんな時担任の篠原先生がやってきた。


「じゃあ、委員長号令!」


 と篠原先生は言う。


「きりーつ、おはようございます」


 すると生徒達は小百合さんに言われたとおり、立って、こぞって、『おはようございます』と礼をする。


 そして「着席」


 そこで隣にいる小百合さんに、


「小説読ませてよ」


「純君、今はホームルームの時間だよ。ちゃんとしなきゃダメ!」


 何かはぐらかされている様な気がするのは気のせいではないだろうか。


 今日は一時間目から体育の時間だった。


 ここの学校では男子も女子も一緒の教室で着替える事になっている。


「小百合さん。小説」


「純君、何見ているのよ。そんなに私の裸に興味を持ったの?」


 何も言えない。


 やっぱり小百合さんは僕に小説を読ませるつもりはないのかもしれない。


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