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子供になったお母さん  作者: 柴田盟
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僕をからかう高岡さんにぎゃふんと言わせたい

 前話とも同じにからかい上手の高木さんを盛り込んで書きました。楽しんでいただければ幸いです。

 図書館で高岡さんと宿題をして帰って行くと、リビングでお母さんが夕飯の支度をして待っていた。


「どうしたの?そんなに浮かない顔をして」


「いや別に」


「何か嫌な事でもあったの?」


 あったと言ったらあったが、高岡さんの事をお母さんに言っても仕方がないことだと思って黙っていた。


「さあ、今日はお母さん特製のオムライスよ。しっかり食べて嫌な事を忘れてしまいましょう」


 そうだ。嫌な事を忘れてお母さんの作ってくれたオムライスを食べようじゃないか。


 容姿が子供の姿に戻ってしまったお母さん。こんなお母さんを高岡さんに見られたら何を思われるか分かった物じゃない。


 本当にお母さんが作ってくれたオムライスはおいしい物だった。


 さて、ご飯も食べた事だし、お風呂にでも入って明日の支度をしよう。


 お風呂に入っていると、お風呂場の外から何かお母さんの声が聞こえてきた。


「純君、お母さんもお風呂に入るから」


 そう言ってお母さんは素っ裸のままお風呂に入ってきた。


「ちょっとお母さん!勝手に入ってこないでよ!それに僕はもう小学四年生なんだよ!」


 僕はお母さんの裸を見て、凄くドキドキしてしまった。


 以前、大人の姿だったお母さんの裸を見ても何とも思わないが、こうして小学生四年生ぐらいのお母さんを見て、僕は胸が張り裂けそうな気分になってしまう。


「さあ、純君。お母さんに背中を流して欲しいんだけれども」


「お母さん。出て行ってよ。僕はもうお母さんとはお風呂に入れないよ」


「あら、純君お母さんの裸を見て、興奮しちゃった?」


 お母さんは嫌らしい目つきで僕の事を見つめる。


 何かその目つき高岡さんに似ていると思って、僕はあまり良い気分にはなれなかった。


「とにかく何でも良いから、お母さんの背中を流してよ」


 僕は言われたとおり、お母さんの背中を洗ってあげた。


 大人の時のお母さんは大きな背中と感じていたが今は子供で、何か違和感を感じる。


 お母さんの背中を洗い流して、次は僕がお母さんに背中を洗って貰うことになってしまった。


 こんな事を高岡さんに知られてしまったら、僕は死ぬほど恥ずかしい思いをするのかもしれない。


 でもお母さんが子供になってしまったことは誰にも秘密にして置いた方が良いだろう。


 僕達はお風呂から出て、お母さんは僕の部屋に二つ布団を敷いてまた二人で眠ることになってしまった。


「僕はもうそんなちっちゃな子供じゃないんだからそんな事をしなくても大丈夫だよ」


「何を言っているの。純君はまだまだ子供じゃない。お母さんの子供なんだから、お母さんの言うことは聞くべきよ」


 ため息が止まらない。仕方がない、ここはお母さんの言うことを聞くしかないだろう。




 ★




 夜、目が覚めて、お母さんの寝顔を見てみると、何か心の底からドキドキとしてしまった。

 もしかして僕はお母さんに恋をしてしまったのかもしれない。


 いやダメだ。この人はお母さんなんだ。お母さんに恋をする人はいるかもしれないけれど、僕はそんな変な事はしたくない。


 とにかく明日に備えて眠ろう。明日もまた委員長の高岡さんに何をからかわれるのか思っても見ないことだった。


 僕は今日は高岡さんにからかわれる夢を見てしまった。


 高岡さんめ、夢にまで現れるのか、本当に隙がない。


 学校に行く時間になって、僕がランドセルを背負って学校に行こうとすると、「純君忘れ物」そう言ってお母さんは外で僕にほっぺにキスをした。


 こんな所をクラスメイトに見られてしまったら、僕は学校には行けなくなってしまうよ。それに高岡さんに凄いからかわれる。


 それだけは何とも防がなければならないと思っている。


 とにかく今日こそは高岡さんをぎゃふんと言わせる事をしたい。


 そうしないと僕の気が済まない。


 歩いてランドセルを背負って学校に向かおうとすると、後ろから肩に手を添えられる感覚に気がついた。


 振り向いてみると、人差し指が僕のほっぺに指が当たってしまった。


「おはよう高橋君」


 いきなり朝っぱらから僕にちょっかいを出して来るなんて何て人だと思った。とりあえず僕は「おはよう」と挨拶をして置いた。


「今日も天気が良いね」


 朝からテンション高めの高岡さんだった。


 この高岡さんに一発ぎゃふんと言わせたいが、どうすれば高岡さんにぎゃふんと言わせる事が出来るのであろうか、僕は思案中だった。


「ねえ、高橋君、私にちょっかい出されて、ぎゃふんと言わせたいんでしょ」


 何だ?いきなり心を読んできた。


「その顔はやっぱり図星だね」


「・・・」


 僕は言葉には出来ずに黙っていた。


「とりあえず、一緒に学校まで行きましょうよ」


 でも高岡さん、ちょっかいは出してくるけれども、別に悪い人じゃないし、嫌いではなく多少苦手ではあるけれど、一緒にいて何か悪い気はしなかった。




 ★




 学校に到着して、高岡さんと僕は隣同士の席であった。


 しかも教室にいるのは僕と高岡さんしかいない。


「私達が一番乗りね」


 席に座ると、高岡さんは僕の顔をジッと見つめてきた。


「な、何?高岡さん!」


 何か高岡さんが僕にちょっかいを出してくる仕草だった。


「何か教室に誰もいないと世界に二人だけしかいないみたいに見えてさあ」


 僕を見つめる高岡さん。


 僕はそんな高岡さんを見つめていると胸がドキドキとしてきた。


「顔赤いよ。高橋君」


 腰を折り曲げて上目遣いに僕を見つめてくる高岡さん。


「赤くないよ。そうやって僕にちょっかいを出すのはもうやめてよ!」


「だって高橋君をからかうと楽しいんだもん」


「それってある意味、いじめじゃん!」


「じゃあ、高橋君も私の事に対してちょっかいを出せば良いじゃない」


 顔が近い。高岡さんもしかして僕のことを・・・。


「おはよう。高岡さん」


 高岡さんと仲の良い藤原さんが教室へと入ってきた。


「おはよう。藤原さん」


 高岡さんは仲の良い藤原さんの元へと行ってしまった。


 何か残念な感じがしたのは気のせいだろう。僕は高岡さんの事が好きではない。


 そうやって高岡さんは僕にちょっかいを出そうとしているに違いない。


 あの人はそう言う人だ。




 ★




 一、二時間目図工の時間になった。


 今日の課題は隣の席の人と互いに似顔絵を描く事となってしまった。


「いいか、書く時間よりも見る方を意識して絵を描くんだぞ」


 図工の先生は僕達生徒にそう促す。


 そうか、書く時間よりも見る時間を倍にして描くことが大事だと分かった。


 僕は高岡さんと隣の席なので高岡さんを描くことに、そして高岡さんは僕を描くこととなった。


 とにかく書く時間よりも見る時間を重視して描く。


 僕は先生の言われたとおり、高岡さんの似顔絵を描いている。


 高岡さんを見るたびに、高岡さんと見つめ合ってしまって、これはこれで何か照れくさくなってしまった。


「高橋君、顔、赤いよ」


「赤くないよ!とにかく先生は書くことよりも見る方を重視して描くことだと言っていたじゃん」


「それにしても高橋君顔が真っ赤か」


 本当に僕の顔は真っ赤かなのか?そうかもしれない。さっきから高岡さんの事を見つめて、胸がドキドキしている事に気がついた。


 高岡さんの目を見てみると、僕の顔をまじまじと見ている。


 それはそうだもんな。今は似顔絵の時間なのだから。


 図工の似顔絵の時間は終わり、一番に輝いたのは僕を描いた高岡さんの絵だった。


 高岡さん絵が上手なんて凄いと思ったけれど、僕が非常に照れていて、顔が真っ赤かなのを描いていた。


 何か一番注目されるクラス一の似顔絵に僕は恥ずかしさ全開だった。


 何か高岡さんにまたいっぱい食わされた様な気がしてならなかった。


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