夢
お風呂に入っているときに僕は考え事をしていた。
夢かあ。
夢を持っている人って本当に輝いて見える。僕もそんな夢を持てるような人間になりたいと思っている。
僕がお風呂に入っているとお母さんが入ってきた。
「ちょっとお母さん、何で入ってくるの!?」
「別に良いじゃない。これも家族のスキンシップよ」
お母さんは本当に子供体型になってしまったんだよな。
それとお母さんだけではなく、あのシスターである光さんも子供体系であった。もしかしたら光さんも子供体型になってしまったんじゃないかと思ってが、そうではないだろう。いつもあんな感じなのだろう。
それよりもお母さんとお風呂か、何か、嫌な感じがした。
僕はお母さんとお風呂に入るようなちっちゃな子供じゃ無い。
「お母さん、出て行ってよ。お風呂くらい一人で入れるから」
「そんなつれないこと言わないの。ほら純君背中を流してあげるから」
僕はお母さんに良いように使われているような気がする。
「こうしてお母さんと純君がお風呂に入っていたことも忘れてしまうんじゃないかな」
お母さんはどこか切ないような声で言った。
「忘れる訳ないよ。何を言っているの?」
すると僕の背中を流しているとき、僕の背中にしがみついた。
「純君はお母さんの事好き?」
突然何を言い出すのかと思ったらそんな事か。
「好きに決まっているじゃん」
「そうだよね。純君はもっとお母さんに甘えても良いんだからね」
そんな時思ったんだ。僕は生涯どんな事があってもお母さんの事を守ってあげようと。
それが僕の中で一つの夢として出来上がった事だった。
でもそれは本来の夢では無く僕の望んだことだ。
★
僕はその夜とんでもない夢を見てしまったのだ。
夢で合ったことに安堵の吐息を漏らした。
それに目には涙を浮かべていた。
「純君、起きなさい。朝よ」
僕の部屋に入ってきてお母さんは僕の泣いている姿を見て驚いていた。
「どうしたの純君?」
「お母さんが死んじゃう夢を見た」
考えて見るだけでも恐ろしいことを僕は言って、口に出すともっと怖く感じてしまった。
そして僕は悲しくなりお母さんに抱きついた。
「大丈夫だよ。純君。お母さんは純君よりも長生きするから」
そう言ってお母さんは僕の頭をなでたのであった。
「本当にそうなりそうで僕は怖いんだけれども」
「あははははは」
とお母さんは笑っていた。
僕の夢の一つはお母さんを守ることであって、こんなんじゃお母さんに守られて居るだけで何かふがいなさを感じた。
本当に怖い夢を見てしまったな、そう思いながら僕は学校に行く準備をするのであった。
そんな時である。僕の家にインターホンのチャイムの音がなり、誰が来たのかと言うと小百合さんだった。
「純君に亜希子さん。おはようございます」
「あら、小百合ちゃん。純君を迎えに来たのね。どうぞ上がって上がって」
そう言って小百合さんに上がって貰った。
「小百合ちゃんは朝早いね、今、朝ご飯を食べる所よ」
「純君、どうしたの?何か目が真っ赤かだけれども」
「純君は、お母さんが死んじゃった夢を見て泣き出してしまったのよ」
「ちょっとお母さん、そんな事を人前で言わないでよ。まるで僕がマザコンの様な感じじゃないか」
「純君、本当にマザコンじゃん」
「そんな事を言わないでよ。僕はマザコンじゃないよ!!」
「何よムキになっちゃって、かわいいんだから」
まずいぞ、小百合さんのからかいが始まってしまう。
とにかく僕は朝ご飯を食べて、学校にいく支度をした。
僕が朝ご飯を食べていると、僕の事をジッと見る、小百合さんがいた。
「何?小百合さん」
そんなに見つめられると何か照れてしまう。
「いや、純君って本当に面白い子だなって」
「面白いってどういう事?」
「そのままの意味よ。大して意味深な事じゃないよ」
さて食事も済んだことだし、僕は小百合さんと一緒に学校に行くことになった。
登校中にふと小百合さんに聞いてみる。
「小百合さんは夢はあるの?」
「私の夢かあ?まだ夢を持つべき年頃じゃないと思うんだけどな。いつも私のお母さんは言っていたけれど、子供はしっかりと勉強して遊ぶことだって・・・まあ、強いて言うなら純君のお嫁さんになれたら良いな」
小百合さんの発言に鼓動が激しく高鳴った。
「僕のお嫁さん?」
「いけないかな?」
「いけなくは無いけれど、それもありなのかもしれないね」
「純君照れてる照れてる。顔が真っ赤っかだよ」
「別に照れて何て居ないよ。とにかく小百合さん。そうやってちょっかい出すのはやめてよ」
「別にちょっかいを出している訳じゃないよ。私は本気よ」
小百合さんが僕の顔を見て真剣な顔をしている。
小百合さんは本気だ。僕と本当に将来のお嫁さんになりたいと思っているみたいだ。
それはさておき今日もつまらない学校生活が始まる。
教室の中に僕と小百合さんが入ると、ざわざわと話し合っている生徒達は黙り込む。
みんな僕の事を怯えているみたいだ。
あのみんなが恐れていた駒木根を半殺しにした事に、僕に恐怖心を抱いているようだ。
それはともかく僕と小百合さんは隣同士の席なのでみんなが静まりかえった所で席に着く。
まあ、学校なんてそんな物かと思っている。
今日も面白くない勉強をして、ちょっとは楽しい体育のポートボールをして、今日の学校の行事は終わった。
放課後僕と小百合さんは、一緒に帰る事となり、僕が帰るといったん小百合さんと別れて、そして小百合さんは家にランドセルを置いたら、僕の家まで来てくれた。
今日も施設の子供達と遊びに行くのだ。それもお母さんも一緒に行くことになっている。
僕が小百合さんを後ろに乗せて自転車を漕いでいる。
河川敷の道をまっすぐに行くといつもの五人組がバスケをしていた。
「おーい。来たよ」
すると施設の子供達五人は僕達の元へとやってきた。
「亜希子お姉さん。今日も練習に付き合ってください」
「良いわよ、相変わらず剛君は相変わらずだね」
あっ君も気合いを入れて頑張って体育教師を目指して頑張っている。
僕と小百合さんは、女の子の明と凛ちゃんと麻美ちゃんとで、バスケを楽しんだ。
こうしてみんなと体を動かす遊びは楽しい物だと思っている。
僕達五人は疲れたので、少し休憩を入れることにした。
「純君、夢、見つかった?」
明に聞かれて僕は、
「いや見つかってないよ」
「小百合ちゃんは夢、見つかった?」
まさか僕のお嫁さんになりたいとか言うんじゃないだろうなと僕は内心ドキドキしていた。
「まだ、見つかっていないかな?」
「だったら今度、幼稚園児に紙芝居をする事になったんだけど、それに参加してみない?」
と明は言っていたがそんな事をして何になるんだと突っ込もうとしたが、とにかく夢を見つけたいなら、色々な人と出会ってやるべき事だと言われたっけ。
「紙芝居って何をするの?」
「紙芝居は紙芝居よ。純君は乗る気じゃないの」
「じゃあ、とりあえずやることにするよ」
「純君がやるなら私もやるよ」
と小百合さんは言った。
「じゃあ、今日その練習でもする。紙芝居って結構難しいんだよ」
「うん。やってみるよ」
すると明は「剛君にあっ君、私達は純君達と施設に向かうから、後は三人で特訓していて」
「分かった」
二人は大声で言った。
紙芝居か、僕はやった事がないから大丈夫かな?
でも夢を見つけ出す鍵が見つかるかもしれない。
そういう事で僕と小百合さんと凛ちゃんに麻美ちゃんと明で施設へと向かった。




